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ば (接助)🔗🔉

(接助) 古語では,未然形に接続する場合と已然形に接続する場合があるが,現代語では,一部,未然形に接続することがあるほかは,大部分が仮定形接続に統一された。 (1)順接の仮定条件を表す。未成立の事柄を仮定し,それを条件として表す。…ならば。古語では未然形に接続。「雨が降れ―,試合を中止する」「君さえよけれ―,一緒に行こう」「かの国の人来(コ)―,みな開きなむとす/竹取」 (2)(「…といえば」「…ならば」などの形で)事柄の内容や,よってきたる根拠を示す。「大学といえ―,近ごろ問題が多いね」「消息筋によれ―,内乱が起こったらしい」 (3)順接の既定条件を表す。理由・根拠となる動作・作用を条件として示す。古語では已然形に接続。(ア)ある条件が満たされれば,いつでもある事柄が起きるという場合の,条件を表す。「立て―芍薬(シヤクヤク),座れ―牡丹(ボタン)」「日が沈め―夜になる」「命長けれ―辱(ハジ)多し/徒然 7」(イ)引き続いて起こる事柄についての,きっかけを表す。…すると。…したところが。「大勢の中で見れ―,それほど目立った存在ではない」「一〇年前を思え―,ずいぶんぜいたくになったね」「浜を見れ―,播磨の明石の浜なりけり/竹取」(ウ)原因・理由を表す。ので。から。「塵を煙の如く吹き立てたれ―,すべて目も見えず/方丈記」 (4)(多く「…も…ば」の形をとって)同類の事柄や共存する事柄を並列する。古語では已然形に接続(ただし,古語にはあまり見られない用法である)。「金もなけれ―地位もない」「ふるき都は荒れゆけ―,いまの都は繁昌す/平家 5」 (5)「ねばならぬ」「なければならない」など,慣用的な言い方として用いる。「仕事にはできるだけ精を出さね―ならぬ」「人は誠実に生きなけれ―ならない」 (6)「いわば」「たとえば」などの形で,副詞的に用いる。「いわ―,ひょうたんから駒が出たようなものだ」 (7)「しからば」「なぜならば」などの形で,接続詞的に用いる。「海運の振興を図るべきだ。なぜなら―,日本は島国だからである」 (8)已然形に接続して,逆接の既定条件を表す。のに。「あまの河浅せしら浪たどりつつわたりはてね―あけぞしにける/古今(秋上)」 〔(1)については,江戸時代後期の擬古文や明治期の普通文などでは形容詞語尾「く」「しく」に接続することもみられる(「恋ひしくば…」「…無くば」など)。これは形容詞連用形「く」「しく」に係助詞「は」の付いたものに条件意識が強く意識されてできたもの。→は(係助詞){(6)}〕

大辞林 ページ 151937