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はな・つ【放つ】🔗⭐🔉
はな・つ【放つ】
〔他五〕
本体・中心との連続や関係を断ち切って自由にさせる意。
①くっついているものを解き分ける。持っているものを放す。手もとから放す。万葉集9「とこしへに夏冬ゆけや皮ごろも扇―・たず山にすむ人」。宇津保物語菊宴「あまた侍る中に、らうたき物にして、しばしも―・ちてはえあるまじとて」。「身を―・たず持ち歩く」
②動物などを自由にさせる。
㋐束縛を解く。古今和歌集雑体「厭はるる我身は春の駒なれや野がひがてらに―・ち捨てつる」。古今著聞集20「その猫ねずみ雀などを取りけれどもあへて食はざりけり。人の前にて―・ちける」
㋑放し飼いにする。源氏物語鈴虫「此の野に虫どもを―・たせ給ひて」
㋒自由に行かせる。万葉集3「わたつみの沖に持ちゆきて―・つともうれむそこれがよみがへりなむ」。「虎を野に―・つ」
③ある1点から発進させる。
㋐射る。発射する。万葉集2「引き―・つ矢の繁けく大雪の乱れて来たれ」。平家物語11「与一鏑かぶらを取つてつがひよつぴいてひやうど―・つ」。「凶漢の―・った銃弾」
㋑声・光などを発する。宇津保物語国譲上「声を―・ちて…泣きののしり給ふ」。源氏物語紅梅「仏のかくれ給ひにける御名残には、阿難が光―・ちけむを」。「悪臭を―・つ」「異彩を―・つ」
㋒火をつける。武烈紀「大臣の宅を囲む、火を縦はなちて燔やく」。平家物語11「野に火を―・つてすでに焼き殺して奉らんとしけるに」
㋓証文などを発行する。高野山文書3「後日の沙汰のために売券を―・つなり」
㋔ある使命をおわせて送り込む。「スパイを―・つ」
④遠ざける。追放する。流罪るざいにする。宇津保物語俊蔭「御供に仕うまつりたりし人々は皆はなつき―・たれぬ」。宇津保物語貴宮「蔵人の民部の丞などそこばくの子ども―・ち遣はされ懲じ給ひて」
⑤放置する。見はなす。宇津保物語初秋「昔聞ゆることありしを、さらに宣ひ―・たで、頼めとのみあらせつつ」。源氏物語夕霧「なほ近くてを。な―・ち給ひそ」
⑥視線を他へ移す。宇津保物語国譲下「目を―・ち給はず、まもらへておはする」
⑦別にする。除外する。除去する。宇津保物語蔵開下「御子ども、中納言を―・ちては皆御供にまうで給ひ」。源氏物語宿木「かううるさき心を、いかで―・つわざもがなと思ひ給へる」
⑧完全なものの一部をこわす。くずす。神代紀上「春は重播種子しきまきし、且また畔毀あはなちす」
⑨閉じている物を取り払う。戸などを大きく引き開ける。また、刀などを勢いよく一気に抜く。宇津保物語楼上下「かの車、巽の隅の高欄―・ちて寄せさせよ」。蜻蛉日記下「みな人も起きて格子―・ちなどすれば」。歌舞伎、幼稚子敵討おさなごのかたきうち「降魔の利剣を―・ち」
広辞苑 ページ 15971 での【放つ】単語。