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とはずがたり →とはずがたり🔗⭐🔉
とはずがたり →とはずがたり
くれ竹のひとよに春の立つ霞、けさしも待ちいで顔に花を折り匂ひをあらそひてなみゐたれば、我も人なみなみにさしいでたり。つぼみ紅梅にやあらむ七つに、紅のうちき、もよぎのうはぎ、赤色の唐衣などにてありしやらん。梅からくさを浮き織りたる二つ小袖に、からかきに梅をぬひて侍りしをぞ着たりし。
今日の御くすりには大納言陪膳(はいぜん)に参らる。とざまのしきはてて、また内へ召し入れられて、台盤所の女房たちなど召されて、如法、をれこだれたるくこんのしきあるに、大納言、三々九とて、とざまにても、ここの返りの勧盃(けんぱい)にてありけるに、またうちうちの御事にも、「その数にてこそ」と申されけれども、「このたびは九三にてあるべし」とおほせありて、如法、上下ゑひすぎさせおはしましたるのち、御所の御かはらけを大納言に給はすとて、「この春よりは、たのむのかりも我がかたによ」とて給ふ。ことさらかしこまりて、九三返し給うてまかりいづるに、なにとやらんしのびやかにおほせらるる事ありとはみれど、なにごととはいかでか知らむ。
広辞苑 ページ 24093 での【とはずがたり →とはずがたり】単語。