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しの・ぶ【忍ぶ】🔗🔉

しの・ぶ忍ぶ】 [一]〔他上二〕 (現代語では五段活用で用いるが、打消に続く時は「しのび」の形も用いる) ①こらえる。我慢する。耐える。万葉集17「わが背子が抓みし手見つつ―・びかねつも」。源氏物語賢木「―・ぶれど涙ほろほろとこぼれ給ひぬ」。「捨てるに―・びない」 ②秘密にする。かくす。源氏物語夕顔「―・ぶるやうこそはと、あながちにも問ひいで給はず」 ③(自動詞的に)人目を避ける。かくれる。源氏物語松風「惟光の朝臣例の―・ぶる道はいつとなくいろひ仕うまつる人なれば」 [二]〔他五〕 (意味上の類似から平安時代以後、四段活用の偲ブと混同して生じた活用形) ①こらえる。我慢する。平中物語「こと局に人あまた見ゆるを、え―・ばで言ひやる」。「不便を―・ぶ」「恥を―・ぶ」 ②表立たないようにする。人目を避ける。(自動詞的にも使う)拾遺和歌集「―・ばむに―・ばれぬべき恋ならばつらきにつけてやみもしなまし」。平家物語灌頂「何者のとひ来るやらむ。あれ見よや。―・ぶべきものならば急ぎ―・ばむ」。「世を―・ぶ姿」「人目を―・んで泣く」

しの・ぶ【偲ぶ】🔗🔉

しの・ぶ偲ぶ】 [一]〔他五〕 (奈良時代にはシノフと清音) ①過ぎ去ったこと、離れている人のことなどをひそかに思い慕う。恋いしたう。万葉集20「わが妻も絵にかきとらむ暇いづまもが旅ゆく我は見つつ―・はむ」。源氏物語明石「なほざりに頼めおくなる一ことをつきせぬねにやかけて―・ばむ」。「昔を―・ぶ」「故人を―・ぶ」 ②心ひかれて(見えないところなどに)思いをはせる。「人柄が―・ばれる」 ③賞美する。万葉集19「あしひきの山下ひかげ鬘かずらける上にやさらに梅を―・はむ」 [二]〔他上二〕 (意味上の類似から平安時代以後、上二段活用の忍ブと混同して生じた活用形)ひそかに思い慕う。心中で恋い慕う。源氏物語「なき人を―・ぶる宵の村雨に」。源氏物語賢木「あひ見ずて―・ぶる頃の涙をも」

広辞苑 ページ 8931