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やつ【奴】🔗🔉

やつ】 [一]〔名〕 (「やつこ」の略) ①人を卑しめていい、または目下の者を親しんでいう語。鳥獣を卑しめていうこともある。竹取物語「かぐや姫てふ大盗人の―が、人を殺さむとてするなり」 ②物事を乱暴にいう語。「こっちの―をくれ」 [二]〔代〕 (三人称)卑しめていうとき、また無遠慮にいうときに用いる。あやつ。きゃつ。「―のしわざだ」

やつ【谷】🔗🔉

やつ】 (関東地方で)低湿地。やち。やと。特に鎌倉辺に地名として多く現存し、地名としては「や」ともいう。十六夜日記「あづまにて住む所は、月影の―とぞいふなる」。「扇ヶ谷おうぎがやつ」 扇ヶ谷(鎌倉) 撮影:関戸 勇

や‐つ【八つ】🔗🔉

や‐つ八つ】 ①数の名。やっつ。はち。また、数の多い意にも用いる。 ②8歳。 ③昔の時刻の呼び方。丑の刻、すなわちおよそ今の午前2時頃、および未の刻、すなわちおよそ今の午後2時頃。やつどき。→時とき

やつ‐あし【八足・八脚】🔗🔉

やつ‐あし八足・八脚】 ①器物の足の八つあること。また、その物。 ②(→)「八足の机」の略。 ⇒やつあし‐の‐つくえ【八足の机・八脚の案】 ⇒やつあし‐もん【八脚門】

やつあし‐の‐つくえ【八足の机・八脚の案】🔗🔉

やつあし‐の‐つくえ八足の机・八脚の案】 8本足の机。神祭の具として用いるほか、元服のとき酒饌を置いたり官人の饗を置いたりした。やつあし。はっそくのつくえ。 ⇒やつ‐あし【八足・八脚】

やつあし‐もん【八脚門】🔗🔉

やつあし‐もん八脚門】 親柱4本の前後に控柱各4本を有する一重の門。宮城や寺院の築地ついじに開かれた門に用いる。東大寺転害てがい門など。はっきゃくもん。 八脚門 ⇒やつ‐あし【八足・八脚】

やつ‐あたり【八つ当り】🔗🔉

やつ‐あたり八つ当り】 誰彼の区別なく八方へ当たり散らすこと。関係のない人にまで怒り散らすこと。「部下に―する」

やつ‐お【八峰】‥ヲ🔗🔉

やつ‐お八峰‥ヲ 多くの山のみねつづき。多くの峰々。万葉集7「あしひきの山椿咲く―越え」

やつか🔗🔉

やつか (イワツカ(岩塚)の転か) ①石垣。また、石堤。 ②諏訪湖で、冬期湖中に石を積み上げておき、湖面結氷後、氷を割ってそこに籠もる小魚を獲る漁法の称。

や‐つか【八束・八握】🔗🔉

や‐つか八束・八握】 (ツカは握った拳こぶしの小指から人差指までの幅)束つか八つ分ある長さ。また、たけの長いこと。古事記「凝烟すすの―垂るまで焼き挙げ」 ⇒やつか‐はぎ【八束脛】 ⇒やつか‐ひげ【八束鬚】 ⇒やつか‐ほ【八束穂】

や‐つか【矢束】🔗🔉

や‐つか矢束】 (ヤヅカとも)矢の長さ。一束ひとつかは一握り、すなわち4指を並べた幅の長さ。

やつ‐がき【八垣】🔗🔉

やつ‐がき八垣】 幾重にもめぐらした垣。八重垣やえがき

やつ‐がしら【八頭・九面芋】🔗🔉

やつ‐がしら八頭・九面芋】 サトイモの一品種。親芋の肥大が早くとまり、数個の同大の子芋を生じ、これらは癒合して直径10センチメートル余の塊をなす。芋は濃密・粘質で美味だが、収量は少ない。八頭芋。〈[季]秋〉

やつ‐がしら【戴勝】🔗🔉

やつ‐がしら戴勝】 (「勝」は女性の髪飾りの意)ブッポウソウ目ヤツガシラ科の鳥。大きさはツグミぐらい。頭部に黄褐色で末端の黒い冠羽があり、自由に起伏させうる。背は暗褐色、翼と尾は黒く、白色の横帯がある。腹部は白色。鳴声は「ぽぽぽ」。ユーラシア大陸・アフリカに広く分布。日本には迷鳥として稀に渡来し、1982年から長野県・岩手県・広島県などで時々繁殖がみられる。 やつがしら ヤツガシラ 提供:OPO

やつ‐が‐たけ【八ヶ岳】🔗🔉

やつ‐が‐たけ八ヶ岳】 富士火山帯中の成層火山。長野県茅野市・南佐久郡・諏訪郡と山梨県北杜ほくと市にまたがる。赤岳(2899メートル)を最高峰として、硫黄岳・横岳・権現岳など8峰が連なり、山麓斜面が広く、高冷地野菜栽培が盛ん。尖石とがりいしなど先史遺跡が分布。 赤岳(1) 提供:オフィス史朗 赤岳(2) 提供:オフィス史朗 横岳 提供:オフィス史朗 硫黄岳 提供:オフィス史朗 権現岳(1) 提供:オフィス史朗 権現岳(2) 提供:オフィス史朗

やつか‐はぎ【八束脛】🔗🔉

やつか‐はぎ八束脛】 古代伝承に見える足の長い人。先住民を誇張していう。釈日本紀10「越後国風土記に曰はく、美麻紀(崇神)天皇の御世に越国に人あり、八掬脛やつかはぎと名づく」 ⇒や‐つか【八束・八握】

やつか‐ひげ【八束鬚】🔗🔉

やつか‐ひげ八束鬚】 長いひげ。神代紀「―生ひたり」 ⇒や‐つか【八束・八握】

やつか‐ほ【八束穂】🔗🔉

やつか‐ほ八束穂】 長くよくみのった稲の穂。祝詞、祈年祭「―の茂いかし穂に」 ⇒や‐つか【八束・八握】

やつかみずおみつの‐の‐みこと【八束水臣津野命】‥ミヅ‥🔗🔉

やつかみずおみつの‐の‐みこと八束水臣津野命‥ミヅ‥ 出雲風土記に登場し、国引きをする神。

やつがれ【僕】🔗🔉

やつがれ】 〔代〕 (ヤツコアレ(奴我)の約。古くは清音)自分の謙称。上代は男女に通じて用いた。仁徳紀(前田本)院政期点「僕ヤツカレ不倭みつのうして称かなうに足らず」

や‐つぎ【矢継ぎ】🔗🔉

や‐つぎ矢継ぎ】 矢を弓につぎかえること。 ⇒やつぎ‐ばや【矢継ぎ早】

や‐つぎ【家継ぎ】🔗🔉

や‐つぎ家継ぎ】 家をつぐこと。家督をつぐこと。また、その人。いえつぎ。

やつ‐ぎ【八匹】🔗🔉

やつ‐ぎ八匹】 はちひき。雄略紀「馬の―は惜しけくもなし」

やつぎ‐ばや【矢継ぎ早】🔗🔉

やつぎ‐ばや矢継ぎ早】 ①矢継ぎの早いさま。矢を続けて射る技の早いさま。平家物語4「競はもとよりすぐれたるつよ弓精兵せいびょう、―の手きき」 ②物事をつづけざまにするさま。つぎつぎと敏速にするさま。「―の質問」 ⇒や‐つぎ【矢継ぎ】

やつ‐ぎり【八つ切】🔗🔉

やつ‐ぎり八つ切】 写真感光材料の大きさの一つ。16.5センチメートル×21.5センチメートル程度の大きさのものの慣用名。八つ切判。

やつ‐くち【八口】🔗🔉

やつ‐くち八口】 和服のわきあけ。みやつくち。

や‐つ‐こ【臣・奴】🔗🔉

や‐つ‐こ臣・奴】 (「家つ子」の意。近世以後ヤッコ) [一]〔名〕 ①目下の者をののしり、または、親しんでいう語。家の子。雄略紀「何処にありし―ぞ。朕われを畏おそりずして…妄みだりがわしく輙軽ただちに答へつる」。万葉集18「―とそ吾はありけるぬしの殿外とのどに」 ②神または朝廷や君につかえる人。おみ。けらい。皇極紀「君臣やつこらま…の序ついでを失ひ」 ③追い使われる身分のいやしい者。しもべ。奴婢ぬひ。万葉集7「住吉すみのえの小田おだを刈らす子―かも無き」 ④転じて、ある物事に心身の自由を奪われた者。とりことなる者。とりこ。万葉集12「恋の―にわれは死ぬべし」 [二]〔代〕 (一人称)へりくだっていうときに用いる。わたくし。やつがれ。垂仁紀「―が家に至る」

やつ‐さがり【八つ下り】🔗🔉

やつ‐さがり八つ下り(→)「八つ過ぎ」に同じ。

やつ‐ざき【八つ裂き】🔗🔉

やつ‐ざき八つ裂き】 ずたずたに裂くこと。寸断。平家物語5「王…荊軻を―にこそし給ひけれ」

やつし‐がき【俏し書】🔗🔉

やつし‐がき俏し書】 字の画かくを省略して書くこと。また、その字。 ⇒やつし【俏し・窶し】

やつし‐がた【俏し形】🔗🔉

やつし‐がた俏し形】 歌舞伎でやつし事を演ずる役柄。また、それを得意とする俳優。やつし。 ⇒やつし【俏し・窶し】

やつし‐ごと【俏し事】🔗🔉

やつし‐ごと俏し事】 歌舞伎で、仔細あって身を落とした身分ある人物や金持の息子などが、いやしい姿でする演技。また、その劇。 ⇒やつし【俏し・窶し】

やつし‐ことば【俏し言葉】🔗🔉

やつし‐ことば俏し言葉】 省略した語。 ⇒やつし【俏し・窶し】

やつし‐じ【俏し字】🔗🔉

やつし‐じ俏し字】 俏し書きにした字。省略した字。 ⇒やつし【俏し・窶し】

やつしろ【八代】🔗🔉

やつしろ八代】 熊本県中部、球磨くま川の河口に臨む市。もと細川氏の支藩松井氏3万石の城下町。八代平野の中心都市。セメント・パルプ工業が立地。人口13万7千。 ⇒やつしろ‐かい【八代海】 ⇒やつしろ‐ぐう【八代宮】 ⇒やつしろ‐みかん【八代蜜柑】 ⇒やつしろ‐やき【八代焼】

やつしろ‐かい【八代海】🔗🔉

やつしろ‐かい八代海】 熊本県南西岸と宇土うと半島・天草島・長島などに抱かれた内海。古来、不知火しらぬいの名所。やつしろのうみ。不知火海。 ⇒やつしろ【八代】

やつしろ‐ぐう【八代宮】🔗🔉

やつしろ‐ぐう八代宮】 熊本県八代市松江城町にある元官幣中社。祭神は懐良かねよし親王。 ⇒やつしろ【八代】

やつしろ‐そう【八代草】‥サウ🔗🔉

やつしろ‐そう八代草‥サウ キキョウ科の多年草。九州地方の原野に自生。高さ約60センチメートル。秋、リンドウに似て、先端の5裂した紫色の鐘形花が集まり咲く。

やつしろ‐みかん【八代蜜柑】🔗🔉

やつしろ‐みかん八代蜜柑】 (熊本県八代地方に産するからいう)ミカンの一種。ナツミカンに似て小形、黄色。食用。 ⇒やつしろ【八代】

やつしろ‐やき【八代焼】🔗🔉

やつしろ‐やき八代焼】 熊本県八代市高田こうだから産する陶器。寛永(1624〜1644)の頃、上野あがの焼の陶工上野喜蔵が、藩主細川氏の肥後転封に従って同地に移り創窯。高田焼。→上野焼 ⇒やつしろ【八代】

やつ・す【俏す・窶す】🔗🔉

やつ・す俏す・窶す】 〔他五〕 ①目立たぬ姿に変える。見すぼらしく様子を変える。源氏物語夕顔「御車もいたう―・し給へり」。「乞食姿に身を―・す」 ②出家して姿を変える。伊勢物語「かたちを―・したれど」。源氏物語鈴虫「世の中なべてはかなく、いとひ捨てまほしきことを互ひに聞えかはし給へど、なほ―・しにくき御身のありさまどもなり」 ③痩せるほどに切に思う。熱中する。「くいなにさへも身は―・す」(狂言歌謡)。「恋に身を―・す」 ④行儀をくずす。うちとける。くつろぐ。好色一代男7「事過ぎて、跡は―・して乱れ酒」 ⑤略す。くずす。統道真伝「詩文の作法、五字・七言を―・して、歌を吟じ」 ⑥容姿をつくる。化粧する。浪花聞書「―・す。顔かたちなどつくり、又女の化粧することをかく言ふ」

やつ‐すぎ【八つ過ぎ】🔗🔉

やつ‐すぎ八つ過ぎ】 ①八つ時、すなわち今の午前2時または午後2時を過ぎた頃。八つ下がり。 ②ふるびかかっていること。色などのさめること。また、そのもの。七つ下がり。浮世風呂2「甚三紅絹じんざもみの―といふ身頃があつたが」

やつ‐た【谷津田】🔗🔉

やつ‐た谷津田(→)「やちだ(谷地田)」に同じ。

やつ‐ぢ【八乳】🔗🔉

やつ‐ぢ八乳】 乳房が八つあること。また、そのもの。特に三味線の胴に張る猫の皮についていい、その皮を張った三味線をもいう。八乳の三味線はよい音が出るといって珍重される。→四乳よつぢ

やつ‐ちゃ【八つ茶】🔗🔉

やつ‐ちゃ八つ茶】 (ヤツヂャとも)日の長い時分の八つ時(午後2時)頃にとる食事。おやつ。

やつ‐で【八手】🔗🔉

やつ‐で八手】 ①八手網の略。 ②ウコギ科の常緑低木。暖地に自生、また庭木として植栽。高さ約2メートル。葉は大形で質厚く、掌状に7〜9中裂し、葉柄は長い。晩秋、梢上に花茎を出し、黄白色の5弁の小花を多数球状につける。果実は球形の液果で翌年の初夏に紫黒色に熟す。葉は生薬とし、去痰きょたん薬。テングノハウチワ。漢名、八角金盤。「八手の花」は〈[季]冬〉。毛吹草2「―の花」 ⇒やつで‐あみ【八手網】 ⇒やつで‐ひとで【八手海星】

やつで‐あみ【八手網】🔗🔉

やつで‐あみ八手網】 魚を獲る具。四手網に更に4本の手を添えたもの。 ⇒やつ‐で【八手】

やつで‐ひとで【八手海星】🔗🔉

やつで‐ひとで八手海星】 キヒトデ目のヒトデ。腕長5センチメートル前後、焦茶色で青・白の斑点が多く、腕は7〜10本であるが8本のものが多い。有性生殖をするが、春先、自ら半分に分裂し、失った部分を再生して増殖する。本州中部以南の浅海に普通。 ⇒やつ‐で【八手】

やつ‐どき【八つ時】🔗🔉

やつ‐どき八つ時(→)「やつ(八)」3に同じ。

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