えびす【夷・戎】 (エミシ（蝦夷）の転) ①^（→）「えぞ」1に同じ。今昔物語集31「その国の奥に―といふものありて」 ②都から遠く離れた開けぬ土地の人民。田舎人。源氏物語東屋「―めきたる人をのみ見ならひて」 ③荒々しい武士。特に京都人が東国武士をさしていった語。あずまえびす。徒然草「―は弓引くすべ知らず」 ④外国人をあなどっていう語。謡曲、唐船「もろこしは心なき―の国と聞きつるに」 ⇒えびす‐うた【夷歌】 ⇒えびす‐がい【夷貝・恵比須貝】 ⇒えびす‐ぐさ【夷草・恵比須草】 ⇒えびす‐ごころ【夷心】 ⇒えびす‐ごろも【戎衣】 ⇒えびす‐すがた【戎姿】 ⇒えびす‐め【夷布】 ⇒えびす‐やまい【夷病】 ⇒えびす‐ゆみ【夷弓】

えびす【恵比須・恵比寿・夷・戎・蛭子】 (エビス（夷）と同源) ①七福神の一つ。もと兵庫県西宮神社の祭神蛭子命_{ひるこのみこと}。海上・漁業の神、また商売繁昌の神として信仰される。風折烏帽子_{かざおりえぼし}をかぶり、鯛を釣り上げる姿に描く。3歳まで足が立たなかったと伝えられ、歪んだ形や不正常なさまの形容に用い、また、福の神にあやかることを願って或る語に冠し用いたともいう。 恵比須 ②「えびすかき」の略。 ⇒えびす‐あば【恵比須網端】 ⇒えびす‐いし【恵比須石】 ⇒えびす‐おうぎ【恵比須扇】 ⇒えびす‐おしき【戎折敷】 ⇒えびす‐がお【恵比須顔】 ⇒えびす‐かき【恵比須舁き】 ⇒えびす‐がね【戎金】 ⇒えびす‐がみ【戎紙】 ⇒えびす‐ぎれ【恵比須切れ】 ⇒えびす‐ぎん【恵比須銀】 ⇒えびす‐こう【恵比須講・夷講】 ⇒えびす‐さぶろう【夷三郎】 ⇒えびす‐ぜに【恵比須銭】 ⇒えびす‐ぜん【夷膳】 ⇒えびす‐なえ【恵比須苗】 ⇒えびす‐の‐うお【恵比須の魚】 ⇒えびす‐ば【恵比須歯】 ⇒えびす‐ばしら【恵比須柱・夷柱】 ⇒えびす‐まい【恵比須舞・夷舞】 ⇒えびす‐まつり【恵比須祭】 ⇒えびす‐まわし【恵比須回し】

えびす‐おしき【戎折敷】_‥ヲ‥ ^（→）「えびす膳」に同じ。 ⇒えびす【恵比須・恵比寿・夷・戎・蛭子】

えびす‐がね【戎金】 にせがね。贋小判。 ⇒えびす【恵比須・恵比寿・夷・戎・蛭子】

えびす‐がみ【戎紙】 紙を重ねて裁つ時、内へ折れこんで裁ち残しになったもの。福紙_ふくがみ。 ⇒えびす【恵比須・恵比寿・夷・戎・蛭子】

えびす‐ごろも【戎衣】 (「戎衣_じゅうい」の訓読)武家の服装。よろい。 ⇒えびす【夷・戎】

えびす‐すがた【戎姿】 よろいをつけた姿。 ⇒えびす【夷・戎】

ジャンク【junk・戎克】 中国およびその周辺特有の船の総称。特定の型式の船ではない。小形船はサンパン。

じゅう【戎】 古代中国で西方の異民族の呼称。えびす。

じゅう‐い【戎夷】 ［礼記王制］(「戎」は中国西方の、「夷」は中国東方の異民族)えびす。蛮人。夷狄_いてき。戎狄。

じゅう‐い【戎衣】 (「戎」は武器の総称)戦争に出る時の衣服。甲冑・軍服の類。

じゅう‐き【戎器】 戦争に使用する刀剣・銃砲・爆発物の類。武器。兵器。

じゅう‐ぐ【戎具】 戦争の用具。武具。

じゅう‐けん【戎軒】 (「軒」は前の高くあがった車) ①戦争に用いる車。兵車。戎車。 ②転じて、戦争。戦闘。また、軍隊。

じゅう‐こく【戎国】 野蛮な国。えびすの国。

じゅう‐し【戎士】 軍兵。兵士。

じゅう‐じ【戎事】 軍事。兵事。いくさ。

じゅう‐しゃ【戎車】 戦争に用いる車。兵車。戎軒。

じゅう‐じょう【戎仗】_‥ヂヤウ 昔、軍隊で用いた鼓吹・幡_ばん・鉦の類。

じゅう‐そう【戎装】_‥サウ 出陣の身支度。武装。軍装。

じゅう‐てき【戎狄・戎翟】 えびす。戎夷。

じゅう‐ば【戎馬】 いくさに使う馬。軍馬。

じゅう‐び【戎備】 いくさのそなえ。軍備。戦備。

じゅう‐ふく【戎服】 戦時に着る衣服。軍服。

じゅう‐へい【戎兵】 武者。軍兵。兵士。

じゅう‐りょ【戎虜】 えびす。戎狄_{じゅうてき}。

戎　字形 〔戈部2画／6画／2931・3D3F〕 〔音〕ジュウ(漢) 〔訓〕えびす [意味] ①兵士。軍隊。いくさ。「戎衣」 ②えびす。（古代中国西方の）異民族。「戎夷_じゅうい・東夷西戎・犬戎」 ▷［］は異体字。