から-あい ―ア 【韓藍】 〔外来の藍の意〕 （１）鶏頭(ケイトウ)のこと。花汁をうつし染めに用いたのでいう。「我がやどに―蒔き生(オ)ほし枯れぬれど/万葉 384」 （２）美しい藍色。「―のやしほの衣ふかく染めてき/続古今（恋二）」

から-あおい ―アフヒ 【唐葵・蜀葵】 タチアオイの古名。

から-あし [0] 【空足】 （１）「無駄足」に同じ。 （２）はだし。すあし。

から-あや [0] 【唐綾】 中国から渡来した綾織物。地組織と織目の方向を違えて模様を浮かせたもの。のちには日本でも織られた。

から-いけ [0] 【空生け・空活け】 生け花で，花器に水を入れないでいけること。

から-いしき ―シキ [3] 【唐居敷】 〔「唐石敷」とも書く〕 門柱や門扉の軸を支える長方形の石または厚板。

から-いた [0] 【空板】 （１）見台(ケンダイ)。 （２）前座の講釈師が，修業のために客の来る前に演ずること。また，前座の講釈師。

からいと-そう ―サウ [0] 【唐糸草】 バラ科の多年草。本州の高山に自生，また観賞用に植える。花茎は高さ約90センチメートル。根生葉は大きく，茎葉は小形。八，九月，数個の長い花穂を枝先に下垂し，紅紫色の花をつける。糸状の花糸を絹糸に見立てた名称。 唐糸草 [図]

から-いぬ [0] 【唐犬】 中国産の犬。また，外国産の犬。

から-いも [0] 【唐芋・唐薯】 〔中国から琉球を経て渡来したとする説に基づく名〕 サツマイモの別名。

から-いり [0] 【乾煎り】 （名）スル 水けを除くために，食材を煎ること。また，そうした食品。「おからを―する」

から-うす [3] 【唐臼・碓】 （１）臼を地中に埋め，柄の端を足で踏み，杵(キネ)を上下させて穀類を搗(ツ)く仕掛けのもの。踏み臼。かるうす。 （２）稲などのもみがらを落とす臼。

から-うそ [0] 【空嘘】 全くの嘘。真っ赤な嘘。「―をつく」

から-うた [2][0] 【唐歌】 漢詩。からのうた。 ⇔大和歌(ヤマトウタ)

から-うつし [3] 【空写し】 （１）カメラのシャッターを押しても，フィルムの入れ方が不完全なため写っていないこと。 （２）フィルムを送るためだけにシャッターを押すこと。

から-うま [0] 【空馬】 人や荷物を乗せていない馬。

から-うめ [2] 【唐梅】 ロウバイの別名。

から-え ― [0] 【唐絵】 中国から伝わった絵。初めは中国人の描いたものをいったが，のち，それを模して日本人が中国の風物を題材として描いたものをもさした。鎌倉・室町期には中国伝来の宋元の水墨画をいったが，その影響を受けた日本画をもいうようになった。 ⇔大和絵(ヤマトエ)

から-おし [0] 【空押し】 （名）スル 熱した金版(カナハン)を布・紙・革などに強く押しつけ，凹凸によって文字や模様をしるすこと。また，そのようにして作ったもの。

から-おり [0] 【唐織(り)】 （１）中国から渡来した織物。また，それをまねて日本で織った織物。金襴(キンラン)・緞子(ドンス)・綾(アヤ)など。唐織物。 （２）絹織物の一。三枚綾の組織の地に様々な色の絵緯(エヌキ)を用いて花鳥・菱花などの模様を表した，刺繍(シシユウ)のように見える織物。 （３）{（２）}で仕立てた能装束。女装束の上衣。まれには公達(キンダチ)にも用いる。

から-かき 【韓垣・唐墻】 （１）韓風や唐風の垣。一説に草木・竹の茎・幹で作った垣とも。「臣の子の八重や―/日本書紀（武烈）」 （２）白壁の塀。「中門の―をかけへだてられ/太平記 27」

から-かさ [3] 【傘】 〔唐風のかさの意〕 割り竹を骨として油紙などを張り，柄をつけて轆轤(ロクロ)で開閉できるようにしたかさ。差しがさ。

からかさ-たけ [4] 【傘茸】 担子菌類ハラタケ科のきのこ。各地の林内の地上に叢生する。傘は初め球形で，のち平開して径20センチメートルに達し，白色の海綿質の肉を露出する。食用。 傘茸 [図]

からかさ-てい 【傘亭】 京都高台寺境内にある茶屋。伏見城より移築されたと伝える。放射状の竹(タケダルキ)による化粧屋根裏が特徴。桃山時代の茶屋の遺構として貴重。

からかさ-まつ [4] 【傘松】 からかさを広げたような枝振りの松。かさまつ。

から-かね [0][2] 【唐金】 〔中国から製法が伝わったことから〕 青銅のこと。

からかみ-の-まつり 【韓神の祭】 昔，宮内省にまつられていた韓神社の祭り。平安時代には，二月の春日祭後の丑(ウシ)の日と，一一月の新嘗祭前の丑の日に宮中で行われた。鎌倉時代以後廃絶。

から-きかん [3][4] 【空期間】 海外居住期間など，年金制度に加入していなかった期間でも，受給資格期間に算入される期間。年金額とは関係ない。

から-きし [0][1] （副） （下に続く打ち消しの表現を強調して）まったく。全然。まるで。からきり。からっきり。からっきし。「―意気地がない」「―わかってない」

から-きり [0] （副） 「からきし」に同じ。「酒は―だめだ」

からく-して 【辛くして】 （副） 「かろうじて」に同じ。「けふ―和泉の灘より小津のとまりをおふ/土左」

からくさ-もよう ―ヤウ [5] 【唐草模様】 つる草がからみ合うさまを図案化した模様。日本には中国から伝わったといわれる。主題となる植物によって忍冬(ニンドウ)唐草・葡萄(ブドウ)唐草などと呼ぶ。唐草文。

からくさ-もん [4] 【唐草文】 ⇒唐草模様(カラクサモヨウ)

から-くに 【唐国・韓国】 中国や朝鮮。「天皇(スメロキ)の遠の朝廷(ミカド)と―に渡る我が背は/万葉 3688」

からくに-の 【唐国の・韓国の】 （枕詞） 同音の繰り返しで「からし」にかかる。「―辛(カラ)くもここに別れするかも/万葉 3695」

から-くみ [0] 【唐組】 紐(ヒモ)の組み方の名。平組で，連続した菱形(ヒシガタ)模様を表す。中国から渡来した高級な組緒(クミオ)の組み方。唐打ち。

から-く・む 【絡組む】 （動マ四） （１）構築する。組み立てる。「竜馬(リユウメ)が原に八町四方の木城を―・み/浄瑠璃・国性爺合戦」 （２）仕組む。たくらむ。「あぢな商ひ―・んで/浄瑠璃・氷の朔日（上）」

から-くら [0][2] 【唐鞍】 唐風の装飾をこらした儀式用馬具。外国使節の接待，御禊(ゴケイ)の行幸に供奉(グブ)する公家や春日社・賀茂祭の勅使などが用いた。 ⇔大和鞍(ヤマトグラ) 唐鞍 [図]

からくら-むし [4] 【伽羅求羅虫】 「伽那久羅虫(カナクラムシ)」に同じ。

からくり-え ― [4] 【機関絵】 眼鏡絵の一種。覗(ノゾ)き機関(カラクリ)に用いる絵。

から-く・る 【絡繰る】 （動ラ四） （１）機械などが動くように仕掛けを工夫する。「大物(ダイモツ)ヲ下ゲ，アルイワ上グル為ニ―・リタル道具ノ名/羅葡日」 （２）裏にいて，様々にたくらむ。陰で操作して表面を繕う。［日葡］

から-くれない ―クレナ [4][5] 【唐紅・韓紅】 〔舶来の紅の意〕 濃い紅色。紅色の美しさをほめていう場合が多い。「千早ぶる神世もきかず竜田川―に水くくるとは/古今（秋下）」

から-くわ ―クハ [0][2] 【唐桑】 中国から輸入した桑材。木目が美しい。とうぐわ。

から-ころも 【唐衣・韓衣】 ■一■ （名） 唐風の衣服。美しい，立派な衣。「―君に打ち着せ見まく欲り/万葉 2682」 ■二■ （枕詞） 「着る」「裁つ」「反(カエ)す」「裾(スソ)」などにかかる。「―きつつ馴れにし妻しあれば/伊勢 9」

から-さき 【唐崎・辛崎・韓崎】 大津市北部の琵琶湖岸の景勝地。近江八景の一つ「唐崎の夜雨」で知られる。((歌枕))「楽浪(ササナミ)の志賀の―幸(サキ)くあれど大宮人(オオミヤヒト)の舟待ちかねつ/万葉 30」

から-さわ ―サハ [0] 【涸沢】 水の干上がった沢。沢の跡。

からし-あえ ―アヘ [0] 【芥子和え】 芥子を加えた醤油などであえた料理。

からし-いろ [0] 【芥子色】 くすんだ黄色。

からし-すみそ [5] 【芥子酢味噌】 芥子を加えた，酢味噌。

から-しお ―シホ 【鹹塩】 海水。塩水。「痛き傷には―を注くちふがごとく/万葉 897」