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は (係助)🔗⭐🔉
は (係助)
〔現在では「わ」と発音する。助詞「を」の下に付くとき,「をば」となることがある〕
種々の語や文節,活用語の連用形などに接続する。多くの事柄の中から,一つのものを取り出して提示するのが本来の用法である。
(1)特に一つの物事をとりあげて提示する。「お酒―ぼくが買う」「食事―もうすんだ」
(2)題目を提示して,叙述の範囲をきめる。「象―鼻が長い」「ぼく―学生だ」「今日―よい天気だ」
(3)二つ以上の判断を対照的に示す。「行き―よいよい,帰り―こわい」「親に―孝行,友人に―信義」
(4)叙述を強める。(ア)
〔格助詞・副詞などに付いて〕
意味や語勢を強める。「たいてい―,そのまま帰る」「君と―もう会わない」(イ)
〔動詞・形容詞の連用形,および助詞「て・で」に付いて〕
一続きの叙述の一部分を強調する。「絶対に行き―しない」「なるほど美しく―ある」「まだ書いて―いない」「真実で―ない」
(5)〔「…(で)は…(だ)が」の形で〕
譲歩の気持ちを表す。活用語の連用形に付くこともある。「雨も,降り―降ったが,ほんのわずかだ」「ごめんどうで―ございますが」
(6)動作・作用の行われる条件・事態を表す。現代語では「ては」の形で用いられるが,古語では「ずは」「くは」「しくは」などの形をとることもある。「不正があって―ならない」「おこられて―大変だ」「会社として―万全の備えをするつもりです」「忘れて―夢かとぞ思ふ/伊勢 83」「あらたまの年の緒(オ)長くあひ見ず―恋しくあるべし/万葉 4408」「鶯の谷よりいづるこゑなく―春くることをたれかしらまし/古今(春上)」「恋しく―形見にせよとわが背子が植ゑし秋萩/万葉 2119」
→ずは(連語)
→ずば(連語)
(7)文末にあって,終助詞的に用いられる。体言や活用語の連体形に接続して,感動の意を表す。よ。「はも」「はや」などの形をとることがある。「歯固めの具にももてつかひためる―/枕草子 40」「あはれ,それを奉り鎮め給へりし―や/大鏡(道長)」
(8)(文末にあって終助詞的に用いられ)話し手自身に対して,念を押すような気持ちでの詠嘆を表す。「すはよい―とて追たそ/史記抄 3」「又五十字,百字有る歌もあらう―さて/狂言・萩大名(虎寛本)」
〔(7)は上代では「はや」「はも」の形をとる。(8)は中世以後の用法。近世では「わ」と表記されることが多くなり,現代語で主として女性が用いる終助詞「わ」の源流となる〕
→はや
→はも(連語)
→わ(終助)
大辞林 ページ 151935 での【係助】単語。