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べし (助動)(べから・べく(べかり)・べし・べき(べかる)・べけれ・○)🔗⭐🔉
べし (助動)(べから・べく(べかり)・べし・べき(べかる)・べけれ・○)
推量の助動詞。動詞およびそれと同じ活用型の助動詞の終止形に接続する。ただし,ラ行変格活用の動詞,およびそれと同じ活用型の語には連体形に接続する。上代以降広く用いられている語であるが,現代語でも,やや文語的な言い方として,一部の用法がなお行われている。
□一□現代語の場合。未然形「べから」,連用形「べく」,終止形「べし」,連体形「べき」が用いられる。未然形「べから」は打ち消しの助動詞「ず」を伴う用法,連用形「べく」は中止法と直接用言にかかる用法とに限られる。
(1)当然のなりゆき,または,そうなるはずの事柄を述べるのに用いる。「いま満開のこの桜の花も,やがては散る〈べき〉運命にある」「非行少年の増加は恐る〈べき〉ことだ」
(2)(「べきだ」「べきである」「べからざる」などの形で)義務づける意味を表す。「この際,あまり無責任な批判はなす〈べき〉ではない」「人権はおかす〈べから〉ざるものだ」
(3)(終止形「べし」を文末に用いて)命令の意を表す。「全員ただちに練習を始める〈べし〉」「報告書は今月末までに必ず提出す〈べし〉」
(4)可能な動作・作用,あるいは実現の可能性のある事態を述べるのに用いる。「今年中に完成す〈べく〉最善の努力をする」「現地の実情は想像す〈べから〉ざる惨状である」
(5)(「べからず」の形で)禁止の意を表す。「関係者以外立ち入る〈べからず〉」「みだりに路上にたん・つばを吐く〈べからず〉」
□二□古語の場合。
(1)話し手が確信をもって推量する場合に用いられる。…だろう。きっと…だろう。「この人々の深き心ざしは,この海にもおとらざる〈べし〉/土左」「人はかたちありさまのすぐれたらんこそあらまほしかる〈べけれ〉/徒然 1」
(2)当然の意を表す。確信の程度が強められた場合に用いられる。…にちがいない。きっと…するはずだ。…することになっている。「仏の御徳必ず見たまふ〈べき〉人にこそあめれ/更級」「おそれの中に恐る〈べかり〉けるは,ただ地震(ナイ)なりけり/方丈記」
(3)そうする意志を表す。自分の動作を確信をもって主張する場合に用いられる。…しよう。…するつもりだ。「ますらをの聡き心も今はなし恋の奴(ヤツコ)に我(アレ)は死ぬ〈べし〉/万葉 2907」「毎度ただ得失なく,この一矢に定む〈べし〉と思へ/徒然 92」
(4)適当あるいは勧誘の意を表す。話し手がこうすれば確かによいと判断する場合,また,それを他に誘いかける場合に用いられる。…したほうがよい。「作文(サクモン)のにぞ乗る〈べかり〉ける/大鏡(頼忠)」「はかなくうち語らはん友なりとも,よくその人を選ぶ〈べし〉/十訓 5」
(5)命令する意を表す。勧誘する意がさらに強調された場合である。…しなさい。…してはならない。「頼朝が首をはねて,わが墓の前に懸く〈べし〉/平家 6」「遠く日月を惜しむ〈べから〉ず/徒然 108」
(6)可能の意を表す。当然の意が強調された場合に用いられる。…することができる。「まことに来世にて逢ふ〈べく〉は,ただ今死しても行かんとぞ思ふ/平治(下・古活字本)」「竜に乗らずは,渡る〈べから〉ず/今昔 5」
〔(1)上代・中古では,上一段活用の動詞に付く時,連用形に接続することがある。「我がやどの萩咲きにけり散らぬ間にはや来て見〈べし〉奈良の里人/万葉 2287」(2)中世後期以降,一段活用・二段活用の動詞にも連用形に接続する例が多くなる。「語をとらば一向に意をかへ〈べし〉/中華若木詩抄」(3)派生語形として「べみ」「べらなり」がある。→べみ・べらなり〕
大辞林 ページ 153984 での【助動べから】単語。