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まい (助動)(○・○・まい・(まい)・○・○)🔗⭐🔉
まい (助動)(○・○・まい・(まい)・○・○)
〔「まじ」から「まじい」の形を経て「まい」となったもの。中世後期以降の語〕
打ち消し推量の助動詞「まじ」の口語形。五(四)段活用の動詞および助動詞「ます」には終止形に接続し,上一段・下一段・カ行変格・サ行変格の動詞および助動詞「れる・られる」「せる・させる」には未然形に接続する(サ変では未然形のうち「し」の形に付く)。
(1)打ち消しの推量の意を表す。…ないだろう。現代語では,「ないだろう」の言い方を用いるのが普通になっている。「この天気では山に登る人もある〈まい〉」「気をくれてはかなう〈まい〉ぞ/漢書抄(一・清原家本)」「おまへさまは,大事のお身なれば,もしもの事がござつては何ともなります〈まい〉/歌舞伎・業平河内通」
(2)打ち消しの意志を表す。…ないつもりだ。…ないようにしよう。現代語では「…するのはよそう」「…するのはやめよう」の言い方を用いるのが普通になっている。「あんな所へは二度と行く〈まい〉」「今ヨリシテワ夫トモ頼ミマラス〈マイ〉/天草本伊曾保」
(3)当然・適当の意の打ち消しを表す。…べきでない。「いい年をして新婚旅行でもある〈まい〉」「ああ貧乏はせ〈まい〉もの/浄瑠璃・寿の門松」
(4)禁止の意を表す。…してはならない。…するな。「必ず秘密はもらす〈まい〉ぞ」「これ与兵衛さま,うろたへ〈まい〉/浄瑠璃・卯月の紅葉(中)」
(5)(終助詞「か」を伴って)勧誘・依頼の意を表す。「なんとか許してもらえ〈まい〉か」「今度の試合の切符を少しわけてくれ〈まい〉か」
(6)(「…う(よう)と…まいと」の形で)動作・作用を対比して取り上げる。「行こうと行く〈まい〉と君の勝手だ」「今さら後悔しようとし〈まい〉と間に合うことではない」
(7)(「あろうことかあるまいことか」「なろうことかなるまいことか」などの形で)許容されない事柄についていう。「あろうことかある〈まい〉ことか,走者の走っているコースに飛び出してしまった」「そんな自分勝手なことがなろうことかなる〈まい〉ことかよく考えてみろ」
(8)(「…まいに」の形で)事実と反対の仮想を表す。「冬でもある〈まい〉に,厚いセーターなんぞ着こんで」「自分のものなら,あんなに粗末には扱う〈まい〉に」
(9)(「…まいし」の形で)後続の言葉に対する何らかの条件を表す。文脈によって,「…ないから」「…ないので」または「…ないのに」などの意になる。「十代の娘じゃある〈まい〉し,そんなミニスカートなんかはけませんよ」「どさまわりの旅役者じゃある〈まい〉し,よくあんな芝居を平気でやっていられるね」
〔「まい」の接続のしかたは,時代によって,いろいろのゆれがみられる。近世までの接続は,四段活用とナ変の動詞には終止形に,ラ変には連体形に付くのが普通であるが,未然形に付いた例もみられる。一段活用・二段活用とカ変の動詞には未然形に付くのが一般であるが,終止形に付くこともある。サ変には未然形に付き,「せまい」が一般であるが,「しまい」の形もみられ,さらに「すまい」となることもある。現代語では,五段活用の動詞には終止形に,上一段・下一段・カ変・サ変の動詞およびこれらの動詞と同じ活用型の助動詞には未然形(サ変は「し」の形)に付くのが一般であるが,一段活用の動詞の場合は終止形にも付き,カ変・サ変の場合は「くまい」「くるまい」「すまい」「するまい」のようにも付く〕
大辞林 ページ 154604 での【助動○】単語。