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らし (助動)(〇・〇・らし・らし・らし・〇)🔗🔉

らし (助動)(〇・〇・らし・らし・らし・〇) 推量の助動詞。動詞および動詞型活用の助動詞の終止形に付く。ただし,ラ行変格活用の動詞およびラ変型活用の語には連体形に付く。 (1)眼前の状況について,その原因である事情を推定する意を表す。「ひさかたの天の香具山この夕(ユウベ)霞たなびく春立つ〈らし〉も/万葉 1812」「我が背子がかざしの萩に置く露をさやかに見よと月は照る〈らし〉/万葉 2225」 (2)眼前にない事柄について推定する意を表す。「古(イニシエ)の七の賢(サカ)しき人たちも欲りせしものは酒にしある〈らし〉/万葉 340」「あしひきの山ほととぎす里なれてたそがれ時に名のりす〈らし〉も/拾遺(雑春)」 〔(1)上代には,連体形に「らしき」があり,係助詞「こそ」の結びとして用いられている。「古(イニシエ)も然(シカ)にあれこそうつせみも妻を争ふ〈らしき〉/万葉 13」(2)連体形「らし」,已然形「らし」は,それぞれ,係り結びの結びの形としてのみ用いられている。「降る雪はかつぞ消(ケ)ぬ〈らし〉あしひきの山のたぎつ瀬音まさるなり/古今(冬)」「白雲のこのかたにしもおりゐるは天つ風こそ吹きて来つ〈らし〉/大和 132」(3)上代では,上一段活用の動詞に付く場合,未然形または連用形とも見られる形に付く。「春日野に煙立つ見ゆ娘子(オトメ)らし春野のうはぎ摘みて煮〈らし〉も/万 1879」(4)ラ変活用の動詞またはラ変型活用の語に付く場合,「あるらし→あらし」「寒かるらし→寒からし」などのように,連体形語尾「る」が省略されることがある。「武庫(ムコ)の海の庭良くあ〈らし〉いざりする海人(アマ)の釣舟波の上ゆ見ゆ/万 3609」「秋の夜は露こそことに寒か〈らし〉草むらごとに虫のわぶれば/古今(秋上)」〕

大辞林 ページ 156521 での助動〇単語。