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り (助動)(ら・り・り・る・れ・れ)🔗🔉

(助動)(ら・り・り・る・れ・れ) 完了の助動詞。四段活用の動詞の已然形(上代では命令形),サ行変格活用の動詞の未然形に接続する。 (1)動作・作用が既に終わって,その結果が存続していることを表す。…た。…ている。「秋の野のみ草刈り葺(フ)き宿れ〈り〉し宇治のみやこの仮廬(カリイオ)し思ほゆ/万葉 7」「富士の山を見れば,五月のつごもりに雪いと白う降れ〈り〉/伊勢 9」 (2)動作・作用が引き続いて行われている意を表す。…ている。…てある。「立て〈る〉人どもは,装束の清らなること物にも似ず/竹取」「梅の花それとも見えず久方の天霧(アマギ)る雪のなべて降れ〈れ〉ば/古今(冬)」 (3)動作・作用が完了したことを表す。…た。…てしまった。「講師,むまのはなむけしにいでませ〈り〉/土左」「勅使,蔵人侍従宗基,目録もちて参れ〈り〉/増鏡(大内山)」 〔(1)この語の成立については,動詞の連用形にラ変動詞「あり」が熟合し,たとえば「降りあり」→「降れり」(furi+ari→fureri)のように変化してできたものとする説が一般に行われている。ただし,これには異説もある。(2)接続については,四段・サ変とも命令形に付くとする説もある。これは,上代特殊仮名遣いでは命令形相当のもの(甲類の仮名)に付いていることに基づくものである。もっとも,甲類の仮名に付くのは,連用形語尾の i と「あり」の頭音 a との結合によったために生じたもので,直接に命令形という活用形の機能にかかわりをもつものではないと考えられている。(3)上代には,カ行上一段・カ行変格活用の動詞に付いた例も見られる(動詞の形は「け」の甲類の仮名が用いられており,これも連用形語尾「き」と「あり」との結合の結果とみられる)。「我が旅は久しくあらしこの我(ア)が着(ケ)〈る〉妹が衣の垢(アカ)付く見れば/万葉 3667」「見まく欲り思ふ間に玉梓の使ひの来(ケ)〈れ〉ば/万 3957」(4)院政時代以降,下二段活用の動詞に付いた例も見られる。「我れ前の夫,大臣を恋ふるに依りて歎き愁へ〈る〉なり/今昔 2」(5)この語とほぼ同じような意味を表す助動詞に「たり」があるが,中古以降,接続の自由な「たり」の方がしだいに多く用いられるようになり,中世以後,終止・連体形以外には,「り」はほとんど用いられなくなっていった〕

大辞林 ページ 156596 での助動ら単語。