こころ-の-うら 【心の占】 心の中でおしはかること。予感。予想。「かく恋ひむものとは我も思ひにき―ぞまさしかりける/古今（恋四）」

こころ-の-おに 【心の鬼】 （１）やましい心をとがめる心。良心の呵責(カシヤク)。「―に恥づかしくぞおぼゆる/源氏（東屋）」 （２）煩悩(ボンノウ)・嫉妬(シツト)の心。「―はもしここ近き所にさはりありてかへされてにやあらむと思ふ/蜻蛉（下）」

――が身を責・める 良心の呵責(カシヤク)を感じる。

こころ-の-かて [6] 【心の糧】 心を豊かにしたり慰めたりするもの。「聖書を―とする」

こころ-の-こま 【心の駒】 〔「意馬」の訓読み〕 「心の馬」に同じ。「あらそへる―の乗り物に/新撰菟玖波（雑三）」

こころ-のこり [4] 【心残り】 （名・形動） あとに心が残って，心配したり残念に思う・こと（さま）。未練。「完成を見とどけられないのが―だ」

こころ-の-さる 【心の猿】 〔「心猿」の訓読み〕 煩悩(ボンノウ)が激しく抑えがたいことを，猿がさわぎたてて制しがたいことにたとえた語。 →意馬心猿

こころ-の-すぎ 【心の杉】 心が誠実であるのを，まっすぐに生える杉にたとえた語。「たれぞこの三輪の檜原(ヒバラ)も知らなくに―の我をたづぬる/新古今（恋一）」

こころ-の-せき 【心の関】 自分の思いを受け入れようとしない他人の心を関所にたとえていう語。「憂き人の―にうちも寝で夢路をさへぞ許さざりける/新千載（恋二）」

こころ-の-そこ [0] 【心の底】 （１）心の奥。意識の底。 （２）偽りのない心の中。心底(シンテイ)。「―から感謝する」

こころ-の-そら 【心の空】 （１）いろいろな思いの浮かんだり消えたりする場としてみた心。「風吹けば室の八島の夕煙―に立ちにけるかな/新古今（恋一）」 （２）心がうわの空になって何も手につかない状態。「君をのみ思ひやりつつ神よりも―になりし宵かな/拾遺（雑恋）」