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う・つ【打つ】🔗🔉

う・つ【打つ】 [動タ五(四)]物を他の物に向けて強く当てる。たたく。ぶつ。「平手で―・つ」「滝に―・たれる」勢いよくぶつける。「後頭部を強く―・つ」たたいて鳴らす。打ち合わせて、音を立てる。「柱時計が一二時を―・った」「太鼓を―・つ」たたいて移動させる。当てて飛ばす。「ホームランを―・つ」強く刺激する。「鼻を―・つ消毒薬のにおい」心に強い感動を与える。「雄渾(ゆうこん)な筆致が読者を―・つ」のようにして)物事をしたり、物を作ったりする。(くわ)などで耕す。「田を―・つ」たたいて、平たくのばしたり、鍛えたりして作る。「そばを―・つ」「箔(はく)を―・つ」「太刀を―・つ」キーをたたいて信号を送る。発信する。また、印字する。「電報を―・つ」「タイプを―・つ」布・綿・わらなどをたたいて、つやを出したり、やわらかくしたりする。「わらを―・つ」広がるように投げる。「投網を―・つ」まいて散らす。まきかける。「庭に水を―・つ」目標めがけて投げる。「つぶてを―・つ」のようにして)しっかりと取り付ける。たたいて、中へ入れ込む。「くいを―・つ」「梁(やな)を―・つ」さし入れる。突きさす。「鍼(はり)を―・つ」「注射を―・つ」付け留めて高く掲げる。「高札を―・つ」しるしをつける。「目盛りを―・つ」「読点を―・つ」しっかりと全体に張る。「掛け軸の裏を―・つ」ひも・糸などを組み合わせて、よる。「緒を―・つ」縄で縛る。縄をかける。「縄を―・たれた罪人」ある事を行う。相撲・芝居などの興行をする。「芝居を―・つ」碁・ばくちなど、勝負事をする。「ばくちを―・つ」手段・方策を施す。「ストを―・つ」「手金を―・つ」「逃げを―・つ」そのような動作をする。「寝返りを―・つ」動きが規則正しく繰り返される。「磯―・つ波」「脈―・つ」火打ち石を強くぶつけて火をだす。「をりをりに―・ちて焚(た)く火の煙あらば心ざす香をしのべとぞ思ふ」〈貫之集〉《鞭(むち)でたたくところから》馬を走らせる。「佐々木判官時信は一里計(ばか)り引きさがりて、三百余騎にて―・ちけるが」〈太平記・九〉幕などを張る。「生田の川のつらに、女、平張(ひらば)りを―・ちてゐにけり」〈大和・一四七〉 [可能]うてる[動タ下二]《「打たれる」意から》負ける。圧倒される。「ことの葉は強(こは)く見ゆれどすまひ草露には―・つるものにざりける」〈源順集〉誓いを守らず神仏の罰を受ける。「いかに和僧、起請(きしやう)には―・てたるぞ」〈平家・一二〉承服できる。合点がいく。「小気味の悪い女郎ぢゃと、さすがの武士も―・てぬ顔」〈浄・天の網島〉◆江戸時代には「うてる」という下一段形も行われた。 [用法]うつ・たたく――ほぼ同様の動作を表すが、「打つ」は「太鼓を打つ(=拍子を取る)」「鐘を打つ(=時を知らせる)」「釘を打つ」のように、意志的な動作に重点をおいて用いられる場合がある。◇「たたく」は動作そのものを示す。「ボールをたたく」といえば、「打つ」よりも打撃の姿、勢いなどを想起させる。また、「太鼓をたたく」「鉦(かね)をたたいて経を読む」など、繰り返し打ち続けることをいうことが多い。◇類義語の「殴る」は怒り・興奮などの感情を込めて強く打つ場合に用いる。「ぶつ」もほぼ同じだが、「殴る」にくらべて、怒り・興奮は浅く、打つ力も弱い。「そんなにぶたないでよ」のような用法もあり、この場合「殴る」に置き換えることはできない。◇「はたく」は、平たいもので打つ感じが強く、払いのけるような動作を伴うことが多い。「ほこりをはたく」「蠅(はえ)をはたく」などと用いる。

大辞泉 ページ 1427 での打つ単語。