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つ・ける【付ける・附ける・着ける・就ける・即ける】🔗⭐🔉
つ・ける【付ける・附ける・着ける・就ける・即ける】
〔他下一〕[文]つ・く(下二)
➊二つの物を離れない状態にする。
①ぴったり一緒にする。くっつける。貼る。竹取物語「この玉の枝に文ぞ―・けたりける」。万葉集20「わぎもこが―・けし紐が緒お絶えにけるかも」。「身頃に袖を―・ける」
②書き入れる。記す。あとを残す。印する。徒然草「人の語りしままに書き―・けはべるなり」。「日誌を―・ける」「足跡を―・ける」
③染める。色をうつす。万葉集17「かきつばた衣にすり―・けますらをのきそひ狩りする月は来にけり」。日葡辞書「イロヲツクル」
④塗る。こすりつける。源氏物語末摘花「鼻に紅を―・けて見給ふに」。日葡辞書「キズニクスリヲツクル」
➋ある物を他の物の後に従わせる。
①服従させる。味方にする。従わせる。孝徳紀「任那みまなの国を以て百済くだらに属つけ賜ふ」
②あとにつづかせる。つづける。無名抄「君が宿にて君と明かさんと―・けたるを」。日葡辞書「レンガ(連歌)ヲツクル」
③尾行する。追跡する。あとを追う。日葡辞書「アトヲツクル、アトヲツケテユク」。浄瑠璃、淀鯉出世滝徳「今まで西口に―・けてゐましたが、爰へはまだ見えぬか」
④つきそわせる。かしずかせる。源氏物語花宴「心も空にて思ひ至らぬくまなき良清、惟光を―・けてうかがはせ給ひければ」。日葡辞書「ヒトニヒトヲツクル」。「付き添いを―・ける」
⑤従って学ばせる。「家庭教師に―・ける」
➌ある物を他の物のところまで及びつかせる。
①届かせる。行きつかせる。及ぼす。到着させる。伊勢物語「あるじ聞き―・けて」。日葡辞書「フネヲツクル」
②増し加える。添える。源氏物語末摘花「すこし今めきたるけを―・けばやとぞ、乱れたる心には心もとなく思ひゐたる」。日本永代蔵5「近代の縁組は相生・形にも構はず、―・けておこす金性の娘を好む事世の習ひとはなりぬ」。「割増金を―・ける」「はずみを―・ける」
③設ける。「道を―・ける」「書斎に電話を―・ける」
➍身にまといつける。
①身にまとう。着る。万葉集3「しらぬひ筑紫の綿は身に―・けて未だは着ねど」。「首飾りを―・ける」
②わがものとする。「教養を身に―・ける」「手に職を―・ける」
➎感覚や力を働かす。
①心をむける。万葉集19「うつせみの常なき見れば世の中に心―・けずて思ふ日そ多き」。日葡辞書「キ・ココロヲツクル」「メヲツクル」
②燃えうつらせる。発火させる。伊勢物語「この野はぬす人あなりとて火―・けむとす」。日葡辞書「イエニヒヲツクル」
③ともす。器具のスイッチを入れる。源氏物語末摘花「大となぶら消えにけるをともし―・くる人もなし」。「電灯を―・ける」
➏他にあつらえる。
①ことづける。伊勢物語「修業者あひたり、京にその人の御もとにとてふみかきて―・く」。今昔物語集19「己れが兄弟にて侍る僧に―・けて言はしめ侍るなり」
②負わせる。源氏物語野分「そのほかはつゆ難―・くべうもあらず」。「なんくせを―・ける」
③呼ぶ。命名する。源氏物語桐壺「光君といふ名は高麗人のめで聞えて―・け奉りける」。日葡辞書「ナヲツクル」
④定める。「値段を―・ける」「見込みを―・ける」
⑤決着に至らせる。まとめる。「片を―・ける」「話を―・ける」
➐ある位置におかせる。
①即位させる。平家物語8「抑、臣等が慮りを以て選びて位に―・け奉らん事、用捨私有るに似たり」。「王位に―・ける」
②すわらせる。「席に―・ける」
③位置を占めさせる。「上座に―・ける」
④役を与える。「局長の地位に―・ける」
➑(他の動詞に付いて)常に…する。なれる。源氏物語桐壺「亡せ給ひにし御息所の御かたちに似給へる人を三代の宮仕につたはりぬるにえ見奉り―・けぬに」。日葡辞書「ワザヲシツクル」「フネニノリツケタヒト」。「使い―・ける」
➒他の動詞に付いて、勢いのはげしい意を表し、あるいは語調を強める。「叱り―・ける」
➓(主に「…につけて」の形で)応じる。関する。よる。ことよせる。古今和歌集序「心に思ふことを見るもの聞くものに―・けていひいだせるなり」。源氏物語桐壺「朝夕の宮仕に―・けても人の心をうごかし」。「雨風に―・けて子を思う」「それに―・けても金の欲しさよ」「よいに―・け悪いに―・け」
◇到着・着席・着用などの場合に「着」、就任・就労などでは「就」、即位には「即」を使う。
広辞苑 ページ 13143 での【付ける】単語。