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〔助詞〕 (助動詞ツの連用形の転ともいうが、形容詞の連用形や副詞にも付くことから、ツとは別語とする説もある)活用語の連用形、副詞などに付く。連濁で「で」となることがある。 ➊(接続助詞)前の語句を受けて後の語句に続ける。 ①後に述べる内容よりも先行する内容を表す語句を受ける。古事記「出で立ち―わが国見れば」。万葉集17「あしひきの山谷越え―野づかさに今は鳴くらむうぐひすのこゑ」。竹取物語「妻の女にあづけ―養はす」。「春が過ぎ―夏が来る」「家に帰っ―、見せる」「結婚し―20年になる」 ②後の事態の成り立つ条件を示す。 ㋐仮定条件を示す。…たならば。…ては。源氏物語玉鬘「我さへうち捨て奉り―、いかなるさまにはふれ給はむとすらむ」。「泣い―は、いけない」 ㋑逆接の条件を示す。…のに。…ても。源氏物語松風「抱きおろされ―泣きなどしたまはず」。方丈記「汝、姿は聖人に―、心は濁りにしめり」。「見―見ぬふりをする」 ㋒原因・理由を示す。…から。…ので。万葉集15「あしひきの山路越えむとする人を心に持ち―安けくもなし」。源氏物語若紫「その中に違たがひめあり―つつしませ給ふべきことなむ侍る」。「押され―倒れる」「寒く―泣き出す」「いたずらがひどく―困る」 ③ある動作・作用・状態を表す語句を受け、動詞・形容詞に続ける。推古紀「片岡山に飯に飢―臥こやせるその旅人あはれ」。万葉集18「橋だにも渡し―あらばその上ゆもい行き渡らし」。源氏物語桐壺「かく心細く―おはしまさむよりは」。源氏物語花宴「かう―やみなむとは、さりともおぼされじ」。「面白く―わくわくする」「泣い―訴える」「来―欲しい」 ④対句的に語句を並べ、対等・並列・添加の関係で前後を続ける。「強く―やさしい」「夏涼しく―、冬暖かい土地」「雨が降っ―、風が吹く」 ⑤(…テ…テの形で)反復・継続を表す。「打っ―打っ―打ちまくる」「我慢し―我慢し―生きる」 ➋(終助詞) ①(近世以後の用法)活用語の終止形に付き、相手からも納得されるものとして自分の考えを述べる。浮世風呂「ヤ、ゆふべは寝そびれてこまり切つた―」「あれだから油断はならぬ―」 ②活用語の連用形に付き、種々の表現に添えて、柔らかく念を押す。(多く女性が用いた) ㋐質問・確認など。「あなた、あの字が読め―」「どう、よく分かっ―」 ㋑(「…てくれ」「…てください」の略から)要求・依頼など。「君、お茶入れ―」「早く答え―」「遠慮なく召し上がっ―ね」 ㋒(「てよ」の形で)判断・意見を主張する。「あなたの方がまちがってい―よ」 ➌(格助詞) ①(上代東国方言)と。万葉集20「忘らむ―野行き山行き我来れど我が父母は忘れせぬかも」 ②⇒って。「知りません―言い張る」「動物園―おもしろいね」

広辞苑 ページ 13316 での単語。