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なり🔗⭐🔉
なり
〔助動〕
(➊は[活用]○/なり/なり/なる/なれ/○、➋➌➍は[活用]なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ)
➊(終止形に付く。ただし、ラ変型には連体形にも)聞いたことをもとにして述べる語。
①自分が直接に聞いたことであることを示す。…と聞いている。古今和歌集秋「秋風に初雁がねぞ聞ゆなる誰が玉章たまずさをかけて来つらむ」。土佐日記「男もすなる日記」
②人を介して聞いたこと(伝聞)を表す。…という。…そうだ。万葉集17「少女らは思ひ乱れて君待つと心うら恋ひすなり心ぐしいざ見に行かな」。源氏物語少女「大納言の外腹ほかばらの娘奉るなるに、朝臣のいつき娘出だし立てたらむ何の恥かあるべき」。平家物語11「今日九郎が鎌倉へ入るなるに各々用意し給へ」
③聞いたことから推定することを示す。…と聞いたのは…であろう。古今和歌集秋「秋の野に人まつ虫の声すなり我かとゆきていざとぶらはむ」
➋(体言・体言に準ずる語に付く)場所を表す語を受けて、存在する意を表す。…にある。…にいる。古事記上「天なるや弟棚機のうながせる」。万葉集15「今日もかも都なりせば見まく欲り」。源氏物語若紫「北山なるなにがし寺といふ所に」。天草本平家物語「沖な船に送り奉らう」
➌(体言・体言に準ずる語に付く)事物を断定し、または解説するのに用いる。…である。…だ。口語「だ」に転じて使われる。万葉集5「梅の花今盛りなり」。万葉集6「千万の軍なりとも言挙げせず取りて来ぬべき男とそ思ふ」。源氏物語桐壺「亡き人のすみか尋ね出でたりけむ証の釵かんざしならましかばとおもほすもいとかひなし」。土佐日記「女もしてみむとてするなり」→だ。
▷終止形で「也」とあてることがある。
➍体言に付いて、その状態にあることを示す。ナリ活用形容動詞の語尾とすることもある。状態を表す語に付いて叙述を助ける。地蔵十輪経元慶点「儼然にして」。源氏物語夕顔「ひまひまよう見ゆる火の光、蛍よりけにほのかに、あはれなり」。天草本伊曾保物語「恩を忘るる者は多う、仇を報ぜぬ者は稀な」
広辞苑 ページ 14777 での【なり】単語。