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うつ・す【移す・遷す・映す・写す】🔗🔉

うつ・す移す・遷す・映す・写す】 〔他五〕 物の形・状態・内容を、そのまま他の所にあらわれさせる意。 ➊《移・遷》事物をそのままある所から他の所へ移動させる。 ①物をある場所から他の場所へ置きかえる。また、中のものを他へそっくり移動させる。大和物語「宿近く―・して植ゑしかひもなく待ち遠にのみ見ゆる花かな」。今昔物語集24「海賊来りて船の物を皆―・し取り」。「机を窓辺に―・す」「都を―・す」 ②人の心・関心の対象などを変える。転ずる。源氏物語竹河「人はみな花に心を―・すらむ独りぞまどふ春の夜の闇」。「注意を他へ―・す」「視線を―・す」 ③地位・配置などを変える。特に、左遷する。配流する。平家物語2「末代といふとも、いかでか我が山の貫首かんじゅをば他国へは―・さるべき」。「人事異動で別の部署に―・された」 ④(花や葉などから)色や香りを紙・布などにすりつけてしみこませる。古今和歌集「梅むめが香を袖に―・してとどめてば」。拾遺和歌集「秋の野の花の色々とりすべてわが衣手に―・してしがな」 ⑤次の次元・段階へ事を進めはこぶ。「計画を実行に―・す」 ⑥物怪もののけなどを「よりまし」につかせる。栄華物語後悔大将「物怪ただいできに出でくればいとかたはらいたしと思し召してなほ人に―・さばやと」 ⑦病気などを、他に伝染させる。「風邪を―・す」 ⑧(時を)過ごす。経過させる。徒然草「無益なる事をして時を―・す」。「時を―・さず実施する」 ➋《映・写》物の影、光などをそのまま他の物の上にあらわす。 ①鏡や水面などに物の姿などが現れるようにする。投影する。拾遺和歌集「水うみに秋の山辺を―・してははたはり広き錦とぞみる」。源氏物語蓬生「大空の星の光をたらひの水に―・したる心地して」。「鏡に姿を―・す」 ②スクリーンやテレビ画面などに映像をあらわす。映写する。「映画を―・す」 ③他からの影響を具体的な姿としてあらわし示す。反映する。「流行歌は世相を―・すものである」 ➌《写》元の事物をまねてつくる。 ①文字・絵図などを原物になぞらえて書きとる。模写する。転写する。仏足石歌「釈迦のみあと石に―・しおきゆきめぐり敬ひまつり吾がよは終へむ」。日葡辞書「キャウヲカキウツス」。「ノートを―・す」 ②原物になぞらえて作る。模造する。源氏物語澪標「源氏の大納言の御顔二つに―・したらむやうに見え給ふ」。大鏡道長「唐の西明寺の一院を…大安寺に―・さしめ給へるなり」 ③ある人・物事をまねて、同じようにする。模倣する。狭衣物語3「打わらひ物などの給へるもあさましきまで―・しとり給へるに」。源氏物語藤裏葉「御前の作法―・して君達なども参りつどひて」 ④見聞きしたことなどを文章や絵などにする。描写する。今昔物語集25「頭の形を見て―・してもて参るべし」。「世の人情と風俗を―・した小説」 ⑤(「撮す」とも書く)写真にとる。撮影する。「写真を―・す」

広辞苑 ページ 1872 での移す単語。