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井筒業平河内通     →井筒業平河内通🔗🔉

井筒業平河内通     →井筒業平河内通 むかし昔は昔の今日にして。更に昔よりの昔にあらず。夏(か)は殷(いん)の昔殷は周(しゆう)の昔。其の昔の礼によりて損益する所を知らば。百万代の末かけて。天地と共に限なく。変らぬむかし久堅(ひさかた)の天津御(み)位五十六代。清和の帝(みかど)の御兄(おんしようと)。四品(しほん)惟喬(これたか)親王とて。遁世(とんせん)の皇子。いまそかりける。 頃は貞観十五年二月(きさらぎ)始つかた。御乳母(めのと)の由有りて伴(ばん)の大納言宗岡。御外戚(おんははかた)の親み散位(さんい)紀の有常(ありつね)。日枝(ひえ)の山の麓。小野の。閑居に伺候ある。まだ山里は。冴(さえ)返り。雪はこぼすが如くにて。無媒(ぶばい)の崖路(かけじ)を埋み。雲凝(こ)つて盤石(ばんじやく)頭(こうべ)に峙(そばだ)てり。人家(じんか)の煙(けふり)道絶えて朝来(ちようらい)。一片(いんぺん)の霞を呑むとは。かゝる所の山居(さんきよ)かや。吹雪(ふぶき)にまじる勤行(ごんぎよう)の。鈴(れい)の声をしるべにて。室(むろ)の戸に案内すれば。蘆の簾(すだれ)押しやりて。立出で給ふ惟喬親王。香(こう)の煙にふすぼりし麻の衣赤木(あかぎ)の数珠。行ひ入りたる御形(かたち)珍しゝ方々。公(おおやけ)の事繁きに雪踏み分けし音づれは。麿(まろ)が為の梅鶯山家の春を迎へたり。

広辞苑 ページ 23989 での井筒業平河内通     →井筒業平河内通単語。