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傾城買四十八手     →傾城買四十八手🔗🔉

傾城買四十八手     →傾城買四十八手  しつぽりとした手  客はむすこ、逢方(あいかた)はつき出し間のなき中三。尤(もつとも)初会。  女郎(此春からの突出しにて、年は十六なれど、大がらにみへ、いたつてうつくしく、下村のおきな香をうつすらと付、人がらよく、あいきやう(かお)にこぼれ、髪はしのぶにゆひ、百介がくこの匂ひ、心をあぢにさせ、ひぢりめんのどうにて、紫じゆすに、金糸と銀糸であら礒をぬひつめたへりをとりし、額(がく)むくを着、ゑち川が注文ばたにて、おほち桐をおつた、壁チヨロのひらぐけをしめたるねまき姿。みす紙をつまにもちそへ、らうかにて、)「ことぢやア。」  かぶろ(両てんの花かんざしにて、あたまおもそうにふりむき、)「なんざんすへ。」  女郎「さつきいひ付た事を、わすれてくれめへヨ。」  かぶろ「モウそふ申イしたヨ。」(トいふは、床のとりやうを、いつもとかつてをちがへて、とらせてくれろと云事。これは、となりがまはし座敷ゆへ、むつごとのきこへぬやうにとの心づかひ、こんやのきやく大のもてとみへるなり。)  客ムスコ(年は十八くらゐ。むつくりとして男もよく、あまり口をきかず、いかにもよき所のむすことみへる風俗。つれも一人あり。床おさまつて、五ツぶとんのうへに、はをりをとつたまゝよこになり、手あぶりの中へ、火ばしのさきで何か書て居る所へ、)  女郎(来り、はづかしそうに、くらきほうへすはり、)「上着をおとんなんせんかへ。」  ムスコ「アイ。」(トいつたばかり、ぬぐ。)  女郎(たゝんで床の間の上にをき、)「ぬしやアいつそ気がつまりんすヨ。」  ムスコ「なぜへ。」  女郎「だまつておいでなんすからサ。」  ムスコ「わつちや何ンといつてよいものか、しりやせん。」  女郎「うそをおつきなんし。ぬしやアいつそ手があらつしやるヨ。」  ムスコ「手とやらは二本ほきやござりやせん。」

広辞苑 ページ 24032 での傾城買四十八手     →傾城買四十八手単語。