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けいせい色三味線     →けいせい色三味線🔗🔉

けいせい色三味線     →けいせい色三味線  せちべんなる心から、「傾城と土風(つちかぜ)にはあはぬが秘密」と、いひ出せし者の頬(つら)が見たし。物のあわれも是(これ)よりぞ知る、恋の只中(ただなか)少しの内も浮世の隙(ひま)さへあらば、此(この)美君(びくん)をながめまいらせ、揚屋酒(あげやざけ)に気をのばす事、仙家(せんか)の不老不死の妙薬よりは増(まさ)りて、命の洗濯(せんだく)、水あそびの上(うわ)もり、何か此外に世界の娯(たのし)み又有(ある)べきや。人世(じんせい)七十古来稀(まれ)なる世に、始末の二字にくゝられ、まうけ溜(ため)てつかはぬ、人の心が知(しり)たし。今でも冥途から使が来れば、ゆかねばならぬ身を持(もち)ながら、ある金(かね)を我(わが)楽しみにはつかいもせで、来年の何月迄と切(きり)きつて、金借(か)す人程大胆なるものはなし。今宵(こよい)も知れぬは命なりと、一生やくたいもなふ身を浮雲の天水(てんすい)といふ男、昼酒の酔醒(えいさま)しに東(ひがし)辺(へん)へ出かけぬるに、むかふから来る男を見れば、当流の跡あがりの天窓(あたま)はやる時厚鬢にして、然(しか)も鬠(もとゆい)を巻立て、神主かと思へば赤地(あかじ)の裏を羽織につけたり。又大臣かと見ればつゞく太鼓もなし。芝居役者には色黒し。いかさま一(ひと)癖ある奴と、ちかよつて見れば、是は、古(いにし)へ目をかけてとらせし、おとしの咄をよう夕がほの、五条あたりに住(すみ)し、表辻(おもてつじ)伊勢之助といひて、浦辻まさりと僭上(せんしよう)いひし、安筆屋の浮気者也。

広辞苑 ページ 24032 でのけいせい色三味線     →けいせい色三味線単語。