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さゝめごと     →さゝめごと🔗🔉

さゝめごと     →さゝめごと  世の中のはかなきむつ物語の折ふしには、踏み知らぬ和歌の浦わのくらき道まで互ひに忍びあへず、うち出(い)でぬる言(こと)の葉のすゑ、うつゝ心なき事に侍れども、これは伏屋(ふせや)がしたのさゝめごとなれば、壁の耳もおぼつかなからず。人は一夜の程にも八億のことを思ふとなれば、跡(あと)なし事(ごと)につれなしづくり侍るも、罪深きわざなるべし。又、露ばかりもかたへの人の上にはあらず。たゞふたりが此の道に踏み迷(まど)ひぬるたづしさを、たがひに語り侍るなり。  やまと歌の道は、昔より代々のあつめに、伊勢の海の渚(なぎさ)の玉のかずをみがき、和泉の杣木(そまぎ)のしなをけづりつくし侍れば、今さらのことにあらず。連ねる歌もおなじ道に侍れども、近き世より尋ねいりぬれば、筑波山のこのもかのも奥(おく)残りて、ほのぐらきかたのみ多く侍り。  まことに、歌の道は、天(あま)の浮橋の末とほく、世々につぎて賢き人の踏み知らせ侍れば、いかなる誰(たれ)かたどり侍らむ。連ねる言の葉も、万葉(よろずは)に書きあつめし行くへ代々に朽ちせず。その末、水無瀬川より流れ出で、色をそへ数を連ぬることとぞなり侍る。

広辞苑 ページ 24049 でのさゝめごと     →さゝめごと単語。