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更科紀行 →更科紀行🔗⭐🔉
更科紀行 →更科紀行
さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすゝむる秋風の心に吹(ふき)さはぎて、ともに風雲の情をくるはすもの又ひとり、越人(えつじん)と云(いう)。木曾路は山深く道さがしく、旅寐の事も心もとなしと、荷兮子(かけいし)が奴僕(ぬぼく)をしておくらす。をの
心ざし尽すといへども、駅旅の事心得ぬさまにて、共におぼつかなく、ものごとのしどろにあとさきなるも、中
におかしき事のみ多し。
何
といふ所にて、六十(むそじ)斗(ばかり)の道心の僧、おもしろげもおかしげもあらず、たゞむつ
としたるが、腰たはむまで物おひ、息はせはしく、足はきざむやうにあゆみ来れるを、ともなひける人のあはれがりて、をの
肩にかけたるもの共(ども)、かの僧のおひねものとひとつにからみて、馬に付(つけ)て、我をその上にのす。高山奇峰頭(かしら)の上におほひ重(かさな)りて、左(ひだ)りは大河ながれ、岸下(がんか)の千尋(せんじん)のおもひをなし、尺地(せきち)もたいらかならざれば、鞍(くら)のうへ静かならず。只あやうき煩(わずらい)のみやむ時なし。桟(かけ)はし・寐覚(ねざめ)など過(すぎ)て、猿がばゞ・たち峠などは四十八曲(まがり)とかや、九折(つづらおり)重(かさな)りて、雲路(くもじ)にたどる心地せらる。










広辞苑 ページ 24050 での【更科紀行 →更科紀行】単語。