複数辞典一括検索+
申楽談儀 →申楽談儀🔗⭐🔉
申楽談儀 →申楽談儀
遊楽(ゆうがく)の道は一切物まね也といへ共、申楽(さるがく)とは神楽なれば、舞歌(ぶが)二曲を以て本風と申すべし。さて、申楽の舞(まい)とは、いづれを取り立てゝ申(もうす)べきならば、此(この)道の根本(こんぼん)なるがゆへに、翁(おきな)の舞を申(もうす)べきか。又、謡(うたい)の根本を申さば、翁の神楽歌を申(もうす)べきか。「志(こころざし)を述ぶるを歌といふ」と、古くもいへり。是(これ)、万曲(ばんきよく)のみなもと成(なる)べし。然れば、舞歌(ぶが)二曲を成さゞらん者をば、うるわしき為手(して)とは、いかゞ申(もうす)べき。
三道(さんどう)に云(いわく)、「上果(じようか)の位(くらい)は、舞歌幽玄本風として、三体相応たるべし。上代・末代に、芸人の得手(えて)
様々なりといへ共、至上長久の、天下(てんが)に名を得(う)る為手(して)に於きては、幽玄の花風を離るべからず。軍体・砕動の芸人は、一たん名を得(う)るといへ共、世上に堪へたる名文(みようもん)なし」と、云々(うんぬん)。
又、花伝(かでん)に云(いわく)、「和州・江州・田楽に風体(ふうてい)変(かわ)れり。然共(しかれども)、真実の上手(じようず)は、いづれの風(ふう)なり共(とも)洩れたる所有(ある)まじ。只、人、一向(いつこう)の風斗(ばかり)を得て、十体(じつてい)にわたる所を知らで、余を嫌う。風体・ぎやうぎは面々各々(かくかく)なれ共、面白しと見る花は、和州・江州・田楽にもれぬ所也」と。「殊に此(この)芸とは、衆人(しゆにん)愛敬(あいぎよう)を以て、一座建立の寿福なれば、時に従い、所によりて、愚か成(なる)眼(まなこ)にもげにもと思ふやうにせんこと、寿福也」と、云々(うんぬん)。


広辞苑 ページ 24051 での【申楽談儀 →申楽談儀】単語。