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春色梅暦 →春色梅暦🔗⭐🔉
春色梅暦 →春色梅暦
野に捨(すて)た笠に用あり水仙花、それならなくに水仙の、霜除(しもよけ)ほどなる侘住居(わびずまい)、柾木(まさき)の垣も間原(まばら)なる、外は田畑(たはた)の薄氷、心解(とけ)あふ裏借家(しやくや)も、住(すめ)ば都にまさるらん。実(じつ)と寔(まこと)の中の郷(ごう)、家数(やかず)もわづか五六軒、中に此(この)ごろ家移(やうつり)か、万(よろず)たらはぬ新世帯(あらぜたい)、主(あるじ)は年齢(としごろ)十八九、人品(ひとがら)賤しからねども、薄命(ふしあわせ)なる人なりけん、貧苦にせまる其(その)うへに、此(この)ほど病(やまい)の床(とこ)にふし、不自由いわん方もなき、容体(すがた)もときの吉不祥(よしふしよう)、いとゞ寒けき朝嵐、身にしみ
とかこち顔、独(ひとり)わびしき門(かど)の戸に 女「すこし御免なさいまし
あるじ「アイどなたヱ 女「そふいふお声は若旦那さんといひつゝあける障子さへ、ゆがむ敷居にやう
と、あけて欠込(かけこむ)其姿、上田太織(ふとり)の鼠の棒縞、黒の小柳(こやなぎ)に紫の、やままゆじまの縮緬を鯨帯とし、下着はお納戸の中形縮めん、おこそ頭巾を手に持(もち)て、みだれし鬢の嶋田髷(わげ)、素顔自慢か寐起の儘か、つくろはねども美しき、花の笑顔に愁(うれい)の目元、亭主(あるじ)はびツくり
(かお)うちながめ 主「米八(よねはち)じやアねへか。どふして来た。そして隠れて居る此所(ここ)が知れるといふもふしぎなこと。マア
こちらへ夢じやアねへか トおきかへりてすはる。









広辞苑 ページ 24061 での【春色梅暦 →春色梅暦】単語。