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心中重井筒     →心中重井筒🔗🔉

心中重井筒     →心中重井筒  夜(よ)さ恋(こい)と。いふ字を金紗(きんしや)で縫はせ。裾に清十郎と。寐た所。裾に。清十郎と鼠色。京の吉岡紙子染。やぼてり柿か。薄柿か。正月前の際々(きわぎわ)に旦那殿は外が内。御神酒(おみき)過してうかと山州(やましゆう)といへば目が見えず。内にゐやんす内儀様こちとばかりに打任せ。誂物も節季をも。どう仕廻(しま)はんすことぢゃやら。下心(げしん)の悪い旦那殿。やい三太そりゃ何ぢゃ。茶屋へ行きゃろが山州を買やろが。旦那は旦那こちとは紺屋(こうや)の手間取。何事もさらりっと浅黄にいうてゐよいやい。オヽ喜兵衛のいやる事なれど。我が身はもとを知るまいが。地体(じたい)旦那の下染はの。重井筒(かさねいづつ)屋といふ南の茶屋の弟でこれへは入婿乳呑(ちのみ)小紋を持ちながら。人の海松(みる)茶も構ふにこそお内儀は結構者(けつこうしや)。柳煤竹(すすたけ)にやってぢゃが隠居の親仁(おやじ)がわせると。家内(いえうち)は凍(し)み郡山染に成るわいの。あのやうにほついてはやがて身代は木賊(とくさ)色でおろすやうに。成ってのけうと笑ひける。酒漬(さけづけ)に水も尽くかや我が宿へ。帰り紺屋の徳兵衛忙しげに立帰り。これ庄助喜兵衛。埒があかぬのあかぬの。これにまだかゝってか。何時(いつ)ぢゃと思ふ今日は師走の十五日。中の島のそうぶつ物も昨日限(ぎり)の約束。谷町の蒲団もまだ持って行くまいな。兄貴から誂の重井筒の暖簾(のうれん)も。遅いというて腹立ぢゃ女房どもはどこへ行(い)た。エヽ鈍気(どんげ)な一言(ごん)おれがいはねばもうそれほど間(ま)があく。言附も見廻(みまわし)も口は一つ目は二つ。これでは水も飲まれぬと。いうた所は見事なり。

広辞苑 ページ 24067 での心中重井筒     →心中重井筒単語。