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新版歌祭文     →新版歌祭文🔗🔉

新版歌祭文     →新版歌祭文  敬(うやまつて)白(もうす)。難波の里の大社(おおやしろ)座摩(ざま)明神の鳥居前(さき)。張廻(はりまわ)したる一構(ひとかま)へは。手の筋失物(うせもの)走り人息もすた北浜(きたばま)から。四季の草木(くさき)の売買(うりかい)は。花の顔見せ。冬篭り。新参古参大当り。御馴染御贔屓綱八(つなはち)を。今入(いれ)かはり。お休みと。打(うつ)たり。舞(もう)たり。神楽所(かぐらしよ)の。鈴の音さへ賑はへり参詣群集(くんじゆ)山家屋(やまがや)の。佐四郎はお百度のさしの数さへ。九つ時。瓦屋橋に。子がいから。年季重ねて久松(ひさまつ)が。屋敷廻りも勤(つとめ)がら。主(しゆう)の目鏡に油屋の。下人小助(こすけ)と二人連。宮にお百度現(うつつ)の佐四郎。見るより小助が思案顔。立どまって。アイタ。土辺(どべ)に尻餅。作り病(やま)ひとしらぬ久松。何とした小助殿。怪我はないかと(いた)はれば。イヤ怪我はせぬが。夕べから冷腹(ひえばら)で。アイタ。こりゃ是寒(かん)の中(うち)に水汲(くん)だおどもり。久三の病ひで急病じゃ。奉公の身のつらさは大がいな事は押て居れど。斯(こう)疝気が差込でからは。寸白(すんばく)様になとかゝらにゃならぬ。ヱヽひょんな事じゃなふ。小倉(こくら)の屋敷の商ひ銀壱貫五百目。昼までに請取にこいとの御使。霜先(しもさき)の銀(かね)念の為の二人連。といふて遅(おそ)なったら親方の無調法になる事。いっそわし一人(ひとり)往(い)てこふかい。そんなら太義(たいぎ)ながらそふして下され。是では中一足(ひとあし)もいかれぬ。コレ気をしづめて茶店でなと待て居やんせ。ヱヽ丸子(がんす)持て来たらよいに。戻りに返魂丹(はんごんたん)買(こう)て来て進ぜふぞやと。傍輩の気をかね財布(ざいふ裏表(うらおもて)なき小倉嶋。屋敷をさして急ぎ行(ゆく)。

広辞苑 ページ 24071 での新版歌祭文     →新版歌祭文単語。