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摂州合邦辻 →摂州合邦辻🔗⭐🔉
摂州合邦辻 →摂州合邦辻
願以此功徳(がんにしくどく)鉦(かね)の声。やむが回向の申上(もうしあげ)。百万遍の同行中(どうぎようじゆう)座並(ざなみ)上下(じようげ)の差別なく。心安居(やすい)の岸はづれ。合邦(がつぽう)夫婦が志(こころざし)。逮夜の料理そこ
に。気軽手軽の給仕こそ。心一杯馳走也。
講中(こうじゆう)一番はしやぎ口(ぐち)せんべ屋の槌(つち)右衛門。杉箸片手にしやに構へ。「ヲヽ奇特(きどく)によふ勤(つとめ)さつしやるの。見れば新しい戒名も張(はつ)て有(あれ)ど。炬燵の櫓(やぐら)や焙爐(あぶりこ)のやうな。何じやこう四角な字斗(ばか)りで一つも読(よめ)ねど。此様に味(うま)い事拵へて講中を呼(よば)しやるからは。どふで身内の仏でござらふ。誰じや知らぬが頓生(とんしよう)菩提」と。念仏(ねぶつ)に汁菜(しるな)噛交(かんまぜ)て蓮池(はすいけ)のはぜやのかゝ。「イヤコレ合邦殿(どん)。志(こころざし)の仏が有(ある)と聞た故。今夜の念仏(ねぶつ)は我一(いち)と精出したで。いつもと違(ちご)ふて夜食も格別。麦飯にとろゝ汁。ひろうすの平(ひら)蒟蒻の白あへでは。いかな亡者(もうじゃ)もずる
と極楽へすべり込(こみ)。しやり
仏(ぼとけ)にならしやろ」と。いふも馳走の追従口(ついしようぐち)。






広辞苑 ページ 24078 での【摂州合邦辻 →摂州合邦辻】単語。