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高砂 →高砂🔗⭐🔉
高砂 →高砂
ワキ・ワキツレ「今を始めの旅衣(たびごろも)、今を始めの旅衣、日も行(ゆ)く末ぞ久しき。」
ワキ「そもそもこれは九州阿蘇の宮の神主友成(ともなり)とはわがことなり、われいまだ都を見ず候ふほどに、このたび思ひ立ち都に上り、道すがらの名所をも一見せばやと存じ候。」
ワキ・ワキツレ「旅衣、末(すえ)遥ばるの都路を、末遥ばるの都路を、けふ思ひ立つ浦の波、舟路のどけき春風の、幾日(いくか)来ぬらん跡末(あとすえ)も。いさ白雲の遥ばると、さしも思ひし播磨潟、高砂の浦に着きにけり、高砂の浦に着きにけり。」
シテ・ツレ「高砂の、松の春風吹き暮れて、尾の上(え)の鐘も響くなり。」
ツレ「波は霞の磯隠れ。」
シテ・ツレ「音こそ汐(しお)の満ち干(ひ)なれ。」
シテ「たれをかも知る人にせん高砂の、松も昔の友ならで。」
シテ・ツレ「過ぎ来(こ)し世々は白雪の、積もり積もりて老いの鶴の、寝ぐらに残る有明の、春の霜夜の起き居にも、松風をのみ聞き慣れて、心を友と菅筵(すがむしろ)の、思ひを述ぶるばかりなり。訪れは、松に言(こと)問ふ浦風の、落ち葉衣の袖添へて、木蔭の塵を掻かうよ、木蔭の塵を掻かうよ。所は高砂の、所は高砂の、尾の上(え)の松も年古(ふ)りて、老いの波も寄り来るや、木(こ)の下蔭の落ち葉かく、なるまで命ながらへて。なほいつまでか生(いき)の松、それも久しき名所かな、それも久しき名所かな。」
広辞苑 ページ 24083 での【高砂 →高砂】単語。