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野ざらし紀行 →野ざらし紀行🔗⭐🔉
野ざらし紀行 →野ざらし紀行
千里に旅立(たびだち)て、路粮(みちかて)をつゝまず、三更月下無何(むか)に入(いる)と云(いい)けむ、むかしの人の杖にすがりて、貞享甲子(きのえね)秋八月江上の破屋をいづる程、風の声そゞろ寒気(さむげ)也。
野ざらしを心に風のしむ身哉
秋十(と)とせ却(かえつ)て江戸を指(さす)古郷
関こゆる日は、雨降(ふり)て、山皆(みな)雲にかくれたり。
雰(きり)しぐれ冨士をみぬ日ぞ面白き
何某(なにがし)ちりと云(いい)けるは、此(この)たびみちのたすけとなりて、万(よろず)いたはり心を尽し侍る。常に莫逆の交(まじわり)ふかく、朋友信有(ある)哉此(この)人。
深川や芭蕉を冨士に預行(あずけゆく) ちり
冨士川のほとりを行(ゆく)に、三つ計(ばかり)なる捨子の、哀気(あわれげ)に泣(なく)有(あり)。この川の早瀬にかけてうき世の波をしのぐにたえず。露計(ばかり)の命待(まつ)まと、捨置(すておき)けむ、小萩(こはぎ)がもとの秋の風、こよひやちるらん、あすやしほれんと、袂より喰物(くいもの)なげてとをるに、
猿を聞人(きくひと)捨子に秋の風いかに
いかにぞや、汝ちゝに悪(にく)まれたる歟(か)、母にうとまれたるか。ちゝは汝を悪(にくむ)にあらじ、母は汝をうとむにあらじ。唯これ天にして、汝が性(さが)のつたなきをなけ。
広辞苑 ページ 24098 での【野ざらし紀行 →野ざらし紀行】単語。