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配所残筆 →配所残筆🔗⭐🔉
配所残筆 →配所残筆
我等儀凡下之者、殊更無徳短才、中々御歴々之御末席え出座候者に之(こ)れ無く候所、幼少之時分より似合に人も存(ぞんじ)候て、御歴々方御取持(とりもち)下され候、此段全(まつたく)我等徳義之故とは存ぜず候。天道之冥加に相叶(かない)候故に之(こ)れ有るべく、弥(いよいよ)天命をおそれ候て毎事(まいじ)日用を勤慎(つとめつつしみ)候事に候。
一、六歳より親申付(もうしつけ)候て、学(がく)仕(つかまつ)らせられ候へ共、不器用に候て漸(ようやく)八歳之比迄に、四書・五経・七書・詩文之書、大方よみ覚(おぼえ)候。
一、九歳之時、稲葉丹後守殿御家来塚田杢助(もくすけ)我等親近付(ちかづき)故、我等を林道春老弟子に仕度(つかまつりたき)由頼入(たのみいれ)候。杢助次手(ついで)候て、右之段、丹後守殿へ申上候へば、幼少にて学問仕(つかまつり)候事奇特成(なる)由仰せられ、御城に於いて道春え直(ただち)に丹後守殿御頼(たのみ)下され候。夫(それ)に就き杢助拙者を同道仕(つかまつり)候て道春へ参(まいり)候。道春・永喜(えいき)一座にて、我等に論語之序、無点之唐本にてよませ申され候。我等よみ候へば、山谷(さんこく)を取出し候て読ませられ候。永喜申され候は、幼少にて此(か)くの如く読(よみ)候事きとくに候、然し乍ら田舎学問之者、師を仕候と相みへ、点悪敷(あしく)候由申され候。道春も永喜同意に申され候て感悦仕られ、別(べつし)て念比(ねんごろ)に候て、十一歳迄、以前読(よみ)候書物共又点を改(あらため)、無点之本にて読直(よみなおし)候。
広辞苑 ページ 24099 での【配所残筆 →配所残筆】単語。