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鉢かづき →鉢かづき🔗⭐🔉
鉢かづき →鉢かづき
中昔(むかし)のことにや有(あり)けん、河内国、交野(かたの)の辺に備中守さねたかといふ人まし
ける。数(かず)のたからを持ち給ふ。飽き満ちて乏(とも)しきこともましまさず。詩歌管絃に心を寄せけるが、花のもとにては散りなんことを悲しみ、歌をよみ詩をつくり、のどけき空をながめくらし給ひける。北の御方(かた)は、古今、万葉、伊勢物語、数(かず)の草紙を御覧(らん)じて、月の前にて夜(よ)を明(あか)し入りなんことを悲しみ、明し暮し給ひつつ、心に残ることもなし。鴛鴦のむすび隔つ事もましまさず。思ふまゝなる御なかなるに御子一人もなし。朝夕(あさゆう)悲しみ給ひしに、いかなることにや、姫君一人まふけ給ひて、父母(ちちはは)の御喜び申すはかりはなかりけり。かくていつきかしづき給ふ事限りなし。明け暮れ観音を信じ申されける程に、長谷(はせ)の観音に参りては、かの姫君の末繁昌の果報あらせ給へとぞ祈り給ふ。


広辞苑 ページ 24100 での【鉢かづき →鉢かづき】単語。