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松風 →松風🔗⭐🔉
松風 →松風
ワキ「かやうに候ふ者は諸国一見(いつけん)の僧にて候、われこの程は都に候ひて、洛陽の名所旧跡残りなく一見仕りて候、またこれよりも西国(さいこく)行脚と志(こころざ)して候。」
ワキ「急ぎ候ふほどに、このあたりをば津の国須磨の浦とかや申し候、不思議やなこれなる磯べに様(よう)ありげなる松の候、いかさまこの松につきて謂はれのなきことは候ふまじ、このあたりの人に尋ねばやと思ひ候。」
ワキ「さてはこの松はいにしへ松風村雨とて、二人(ににん)の海人(あま)の旧跡にてありけるぞや、痛はしやその身は土中(どちゆう)に埋もれぬれども、名は残る世のしるしとて、変はらぬ色の松ひと木(き)、緑の秋を残すことのあはれさよ。 かやうに経念仏して弔ひ候へば、げに秋の日の慣(な)らひとて、程なく暮れて候、あの山本の里までは、程遠く候ふほどに、これなる海人(あま)の塩屋に立ち寄りて、一夜(いちや)を明かさばやと思ひ候。」
シテ・ツレ「潮汲み車僅かなる、憂き世に巡るはかなさよ。」
ツレ「波ここもとや須磨の浦。」
シテ・ツレ「月さへ濡らす袂かな。」
広辞苑 ページ 24116 での【松風 →松風】単語。