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与話情浮名横櫛(源氏店の場)     →与話情浮名横櫛🔗🔉

与話情浮名横櫛(源氏店の場)     →与話情浮名横櫛 与三「そりやアな。サ、たつた二百でも帰(けえ)る場もあり、百両もらつても、帰(けえ)られねえ場所もあらア。マア、おれが掛け合ふのを、そつちの方で見て居ねえ。モシおとみ、イヤサおとみさん、コレおとみ、久し振りだなア。」 とみ「エヽ、さうしてお前は。」 与三「与三郎だよ。お主(ぬし)やアおれを見忘れたか。」 とみ「エヽヽ。」 与三「しがねえ恋の情(なさけ)が仇(あだ)、命の綱の切れたのを、どう取り留めてか木更津から、めぐる月日も三年(みとせ)越し、江戸の親には勘当受け、拠所(よんどころ)なく鎌倉の、谷七郷(やつしちごう)は喰ひ詰めても、面(つら)へ受けたる看板の、疵(きず)が勿怪(もつけ)の幸ひに、切られ与三(よそう)と異名(いみょう)を取り、押し借り強請(ゆすり)も習はうより、慣れた時代の源氏店(げんじだな)、そのしらばけか黒塀に、格子造りの囲ひもの、死んだと思つたおとみとは、お釈迦さまでも気がつくめえ。よくもお主(ぬし)ア達者で居たなア。安やい、これじやア一分(ぶ)じやア帰(けえ)られめえじやねえか。」

広辞苑 ページ 24129 での与話情浮名横櫛     →与話情浮名横櫛単語。