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西洋紀聞     →西洋紀聞🔗🔉

西洋紀聞     →西洋紀聞  (一) (上略)凡そ、其人博聞強記にして、彼方多学の人と聞えて、天文・地理の事に至ては、企及ぶべしとも覚えず。〈彼地方の事共を問ひしに、答へし所は、下にしるしぬ。「彼方の学、其科多し。それが中、十六科には通じたり」と申しき。(中略)其教法を説くに至ては、一言の道にちかき所もあらず。智愚たちまちに地を易へて、二人の言を聞くに似たり。こゝに知りぬ、彼方の学のごときは、たゞ其形と器とに精しき事を。所謂形而下なるもののみを知りて、形而上なるものはいまだあづかり聞かず。さらば天地のごときも、これを造れるものありといふ事、怪しむにはたらず。(下略) (二) 大地、海水と相合て、其形円なる事球のごとくにして、天円の中に居る、たとへば、鶏子の黄なる、青き内にあるがごとし。其地球の周囲九万里にして、上下四旁、皆人ありて居れり。凡其地をわかちて、五大州となす。(下略) (三) 大西人に問ふに、其姓名・郷国・父母等の事を以てす。其人答て、「我名は、ヨワン=バッテイスタ=シローテ、ローマンのパライルモ人也〈すべて其語を聞くに、声音うつし得べからず。其名を称ずるごときも、ヨワンといひ、ヲアンといひ、ギョアンといふがごとし。其近く似たるをしるす也。余皆これに倣ふ。そのヨワンといふは、ラテンの語也。ポルトガルの語は、ジョアンといひ、ヲヽランドの語には、ヨヤンといふといふ。パライルモは、ローマンに隷する地名也といふ〉。父は、ヨワンニ=シローテ、死して既に十一年、母は、エレヨノフラ、猶今ながらへて世にあらんには、是年六十五歳也。(下略)                             〈日本思想大系35〉

広辞苑 ページ 24189 での西洋紀聞     →西洋紀聞単語。