自然真営道（稿本）　　　　　→自然真営道 　（一）　大序 　自然トハ、互性・妙道ノ号ナリ。互性トハ何ゾ。曰、無始・無終ナル土活真(どかつしん)ノ自行、小大ニ進退スルナリ。小進木・大進火・小退金・大退水ノ四行ナリ。自(ひと)リ進退シテ、八気・互性ナリ。（中略）妙ハ互性ナリ、道ハ互性ノ感ナリ。是レガ土活真ノ自行ニシテ、不教・不習・不増・不減ニ自(ひと)リ然(す)ルナリ。故ニ是レヲ「自然」ト謂(い)フ。活真トハ、土ハ転定(てんち)ノ央ニシテ、土真ハ転ノ央宮ニ活活然トシテ無始・無終、常ニ感行シテ止死ヲ知ズ。其ノ居ハ不去・不加ニシテ、其ノ自行ハ微止スルコト無シ、活然タル故ナリ。（中略）此ノ故ニ転定・人・物、所有(あらゆる)、事・理、微塵ニ至(いたる)マデ、語・黙・動・止、只此ノ自然・活真ノ営道ニ尽極ス。故ニ予ガ自発ノ書号、「自然真営道」ト為ルハ、是レノミ。（下略） （二）　（二五）私法・盗乱ノ世ニ在ナガラ自然・活真ノ世ニ契フ論 　無始・無終・土活真・自感・四行・進退・互性・八気・通横逆・妙道ハ、転定(てんち)ニシテ土活真ノ全体ナリ。（中略）転定ハ一体ニシテ上無ク下無ク、統テ互性ニシテ二別無シ。故ニ男女ニシテ一人、上無ク下無ク、統テ互性ニシテ二別無ク、一般・直耕、一行・一情ナリ。是レガ自然・活真人ノ世ニシテ、盗乱・迷争ノ名無ク、真儘・安平ナリ。 　然ルニ、聖人出テ、耕ズシテ只居テ、転道・人道ノ直耕ヲ盗テ貪リ食ヒ、私法ヲ立テ、税斂ヲ責取リ、宮殿・楼格台、美珍味ノ食、綾羅・錦繍ノ衣、美宦女、遊楽、無益ノ慰侈、栄花言フ計リ無シ。王民・上下、五倫・四民ノ法ヲ立テ、賞罰ノ政法ヲ立、己ハ上ニ在テ此ノ侈威ヲ為シ、故ニ下ト為テ之ヲ羨ム。且、金銀・通用、之ヲ始メ、金銀、多有ヲ上貴ト為シ、少ク、無キヲ下賤ト為、凡テ善悪・二品・二別ヲ制ス。（下略） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈日本古典文学大系〉