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夢の代     →夢の代🔗🔉

夢の代     →夢の代 (一)自叙  夏の日の長きに倦(う)みて、枕を友とし眠らんとせしが、忽(たちまち)思ふに、「我既に齢(よわい)五十にすぎて、徒(いたずら)に稲をくらひ布帛を衣(き)て、枕にのみなづむは、口おしきことに非ずや。然りといへども世教におよび人を治むる事は、我等しきの任にあらず。責ては我竹山・履軒二先生に聞たる事を書つらねおきて、子孫の教戒にもせば、此上の本望ならんか」と、硯に向ひて書始しより、日々に眠り萌さんとすれば、忽におしまづきによりて、筆をとり書つける而已。その中には、国家のことに及びしこともあるべきなれども、咎むべからず。唯是一家の事のみ。他人の見る書にあらず。此巻はじめは睡をとゞめてかきしまゝに、宰我の償(つぐのい)と題せしに、履軒先生難じて、夢の代(しろ)とあらため題すといふのみ。  享和弐年歳星いぬにやどる夏六月吉旦、隠市の散人これを記す。 (二)神代第三(上略)アヽ神道ヲ学ブモノ、其博学ト見ユル人モ、コノ処ニ至リテハ、何ユヘ斯ノゴトク愚トナルヤ。又仏ヲ学ブモノモ同ジク三世因縁ノ虚説ニ惑ハサレテ愚トナラザルハナシ。其中ニ大中至誠ニシテ動カザルモノハ、儒ニ如クハナカルベシ。コレ余ガ輩、儒ヲ学ビ、漢土ビイキヲシテ牽強スルニアラズ。三代ノ直道ト、正直ノ頭ニヤドリテ論ズルノミ。アヽ和学者博覧強識到ラザル処ナシト云ドモ、唯仁義ナキノミ。ユヘニ其智ノ用ヒカタヲシラズ。仏学者モ亦コレナリ。唯神代ノ巻ト三部経ヲ金科玉条トシテ信ジ、其他ヲ知ラザルニアリ。(下略)                             〈日本思想大系43〉

広辞苑 ページ 24202 での夢の代     →夢の代単語。