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軍人勅諭 →軍人勅諭🔗⭐🔉
軍人勅諭 →軍人勅諭
我国の軍隊は、世々天皇の統率し給ふ所にぞある。(中略)夫兵馬の大権は、朕が統ぶる所なれば、其司々をこそ臣下には任すなれ、其大綱は朕親(みずから)之を攬り、肯て臣下に委ぬべきものにあらず。子々孫々に至るまで篤く斯旨を伝へ、天子は文武の大権を掌握するの義を存して、再(ふたたび)中世以降の如き失体なからんことを望むなり。朕は汝等軍人の大元帥なるぞ。されば朕は汝等を股肱と頼み、汝等は朕を頭首と仰ぎてぞ、其親は特に深かるべき。朕が国家を保護して、上天の恵に応じ祖宗の恩に報いまゐらする事を得るも得ざるも、汝等軍人が其職を尽すと尽さゞるとに由るぞかし。我国の稜威(みいづ)振はざることあらば、汝等能く朕と其憂を共にせよ。我武維(これ)揚りて其栄を耀さば、朕汝等と其誉を偕にすべし。汝等皆其職を守り、朕と一心になりて力を国家の保護に尽さば、我国の蒼生は永く太平の福を受け、我国の威烈は大に世界の光華ともなりぬべし。朕斯も深く汝等軍人に望むなれば、猶訓諭すべき事こそあれ。いでや之を左に述べむ。
一、軍人は忠節を尽すを本分とすべし。
一、軍人は礼義を正くすべし。
一、軍人は武勇を尚(とうと)ぶべし。
一、軍人は信義を重んずべし。
一、軍人は質素を旨とすべし。
右の五ケ条は、軍人たらんもの暫も忽(ゆるかせ)にすべからず。さて之を行はんには、一の誠心(まごころ)こそ大切なれ。抑此五ケ条は我軍人の精神にして、一の誠心は又五ケ条の精神なり。心誠ならざれば、如何なる嘉言も善行も、皆うはべの装飾にて、何の用にかは立つべき。心だに誠あれば、何事も成るものぞかし。況してや此五ケ条は、天地の公道人倫の常経なり。行ひ易く守り易し。汝等軍人能く朕が訓に遵ひて、此道を守り行ひ、国に報ゆるの務を尽さば、日本国の蒼生挙(こぞ)りて之を悦びなん。朕一人の懌(よろこび)のみならんや。
明治十五年一月四日
御名
〈法規分類大全〉
広辞苑 ページ 24235 での【軍人勅諭 →軍人勅諭】単語。