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破戒     →破戒🔗🔉

破戒     →破戒 蓮華寺では下宿を兼ねた。瀬川丑松が急に転宿(やどがえ)を思い立って、借りることにした部屋というのは、その蔵裏(くり)つづきにある二階の角のところ。寺は信州下水内郡飯山町二十何か寺の一つ、真宗に付属する古刹(こさつ)で、ちょうどその二階の窓によりかかってながめると、銀杏の大木をへだてて飯山の町の一部分も見える。さすが信州第一の仏教の地、古代を目の前に見るような小都会、奇異な北国ふうの屋造り、板ぶきの屋根、または冬期の雪よけとして使用する特別の軒庇(のきびさし)から、ところどころに高くあらわれた寺院と樹木のこずえまで―すべて古めかしい町の光景が香のけぶりの中に包まれて見える。ただひときわ目立ってこの窓から望まれるものと言えば、現に丑松が奉職しているその小学校の白く塗った建物であった。

広辞苑 ページ 24303 での破戒     →破戒単語。