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落梅集     →落梅集🔗🔉

落梅集     →落梅集 千曲川旅情の歌 一 小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なす蘩蔞(はこべ)は萌えず 若草も藉くによしなし しろがねの衾(ふすま)の岡辺 日に溶けて淡雪流る あたゝかき光はあれど 野に満つる香も知らず 浅くのみ春は霞みて 麦の色わづかに青し 旅人の群はいくつか 畠中の道を急ぎぬ 暮れ行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛 千曲川いざよふ波の 岸近き宿にのぼりつ 濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む 二 昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ この命なにを齷齪(あくせく) 明日をのみ思ひわづらふ いくたびか栄枯の夢の 消え残る谷に下りて 河波のいざよふ見れば 砂まじり水巻き帰る 嗚呼古城なにをか語り 岸の波なにをか答ふ 過(いに)し世を静かに思へ 百年(ももとせ)もきのふのごとし 千曲川柳霞みて 春浅く水流れたり たゞひとり岩をめぐりて この岸に愁を繋ぐ

広辞苑 ページ 24309 での落梅集     →落梅集単語。