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かか・る【掛かる・懸かる・架かる・繋かる・係る】🔗🔉

かか・る掛かる・懸かる・架かる・繋かる・係る】 〔自五〕 事物の一部分が何かに固定され、全体の重みがそこにゆだねられ、また、全体の動きが制約される意。 ➊ある物、ある場所などに事物の一部が支えられてとまる。 ①物につけられてぶらさがる。たれさがる。たれる。つりさげられる。宇津保物語吹上上「大いなる松に藤―・りて」。古本説話集「御衣架に―・りたる御ぞをめして」。「風鈴が軒に―・る」 ②重みをあずけてとまる。何かを頼って身を支える。よりかかる。もたれる。源氏物語行幸「御脇息に―・りて弱げなれど」。大鏡道長「杖に―・りても必らず参りあひ申し侍らむ」。「嵩かさに―・る」 ③たよる。頼む。世話になる。宇津保物語俊蔭「ただ子の食はするものに―・りてあり」。源氏物語夕顔「うつせみの世はうきものと知りにしをまた言の葉に―・る命よ」。「医者に―・る」 ④繋船する。碇泊する。夫木和歌抄23「海原やはかたの沖に―・りたるもろこし船にときつぐるなり」 ⑤離れたり動いたりしないように錠や鍵などで固定される。「鍵の―・った部屋」「銃に安全装置が―・っている」 ⑥(竿秤さおばかりにぶらさがる意から)はかりに載る。目方が、はかりの目盛に出る。日葡辞書「ヒャクメカカッタ」。浄瑠璃、釈迦如来誕生会「やあ此の秤でおのれが身が―・らうか、臑を引けとねめ付くる、ムム―・らぬ秤何故持つてうせた」。「あまり重くて秤に―・らない」 ⑦鳥がとまる。日葡辞書「タカ(鷹)ガキニカカル」 ⑧高い所にかかげられる。日・月が空にある。大鏡実頼「よろづの社に額の―・りたるに」。浄瑠璃、淀鯉出世滝徳「粟田口にて獄門に―・る筈」。「中天に月が―・る」 ⑨話題に上る。議題になる。日葡辞書「ヒトノクチ、また、コトバニカカル」。「会議に―・る」 ⑩(鍋などが上からつるされたことから)料理などのために火の上に置かれる。「鍋が火に―・っている」 ➋事物が曲がった物・とがった物・張った物・仕組んだ物などにひっかかってとらえられる。 ①ひっかかる。からまる。伊勢物語「むばらからたちに―・りて家に来て打ふせり」。「銃の引金に指が―・る」 ②魚・鳥などが網・釣針に捕らえられる。御伽草子、蛤の草子「すは魚こそ―・りたるらめと思ひ」。日葡辞書「アミニカカル」 ③仕組んだ所におちいる。天草本伊曾保物語「かの獅子王山中で紲わなに―・り進退しんだいここに窮まつたによつて」。「まんまと相手の策略に―・った」「暗示に―・る」 ④(「手に―・る」の形で)相手の意のままに殺される。平治物語「敵の手に―・り候はんより、御手に―・りまゐらせん事こそ」 ⑤目にとまる。目にちらつく。万葉集5「眼交まなかいにもとな―・りて安寝やすいしなさぬ」。源氏物語常夏「ただこの御ことのみあけくれ御心には―・りたり」。「お目に―・る」「気に―・る」 ➌事物がある1カ所を起点として他にひろがる。おおいかぶさる。 ①おおうように広がる。おおいかぶさる。万葉集13「石村いわれの山にしろたへに―・れる雲はわが大君かも」。古今和歌集雑体「春霞―・らぬ山のあらじと思へば」。「霧が―・る」 ②上から注がれた物が上に付いた状態になる。かぶった状態になる。ふりかかる。古今和歌集「白雪の―・れる枝に鶯のなく」。徒然草「あがきの水、前板までささと―・りけるを」。「雨が肩に―・る」「チョコレートの―・ったケーキ」 ③恩恵や情愛などが、そのものに及ぶ。源氏物語松風「露(恩恵の意)の―・らぬたぐひ羨ましくおぼゆ」。「弱い子にふびんが―・る」 ④災厄や罪科などが身に及ぶ。病気になる場合は「罹る」と書く。源氏物語夕顔「いかなる行触いきぶれに―・らせ給ふぞや」。日葡辞書「コノトガハ、タレニカカラウカ」。「マラリアに―・る」「迷惑が―・る」 ⑤負担すべきものとして課せられる。また、費やされる。「収入に税金が―・る」「子供に手が―・る」「京都まで1日―・る」「費用が―・る」 ⑥音曲と所作とが、うまく適合する。難波土産「そうじて浄瑠璃は人形に―・るを第一とすれば」 ➍事物が、ある所から他へわたされる。 ①神がよりうつる。憑く。仲哀紀「時に神有して皇后きさきに―・りて」 ②《架》わたされる。架設される。「橋が―・る」 ③なわ・ひもなどが他の物のまわりに渡される。浄瑠璃、博多小女郎波枕「小女郎が身にも―・つた縛り縄」。「首になわが―・かる」「水引が―・った品物」 ④ある時点・地点から他の時点・地点にまで及ぶ。源氏物語若菜下「よく咲きこぼれたる藤の花の、夏に―・りて」。更級日記「日は山の端に―・りにたり」。平家物語3「かの大江山や生野の道に―・りつつ」。「会議は夜に―・る」「列車が鉄橋に―・る」 ⑤能楽で、詞から唄に、または他の拍子などに移ることや、勢いづいてテンポを速めることなどにいう。申楽談儀「―・る所、文字の声しょうを心得て節をつくべし」 ⑥ある作用が及ぶ。働き・力が増し加わる。「電話が―・る」「声が―・る」「誘いが―・る」「疑いが―・る」「芸に磨きが―・る」 ⑦前の言葉が文脈上後の言葉につながる。「この助詞はこの動詞に―・る」 ⑧張りめぐらしたり、組み立てたりして作られる。「小屋が―・る」 ⑨(小屋がけして行われたことから)芝居・映画などが興行される。上演・上映される。「演舞場に若手歌舞伎が―・った」 ➎物事が関係してくる。 ①かかわる。かかずらう。関係する。源氏物語横笛「あはれなる昔のこと―・りたるふしぶしはあへしらひなどし給ふに」。浮世草子、好色万金丹「多田の銀山に―・つて大分の損したるあげくに」。「本件に―・る訴訟」 ②もっぱらそれに心が向く。熱中する。伊勢物語「酒をのみ飲みつつ大和歌に―・れりけり」 ③それによって決まる。「優勝が―・った試合」「成否は努力に―・る」 ④処理される。扱われる。大鏡道長「いみじき非道事も山階寺に―・りぬれば、又ともかくも人ものいはず」。「彼に―・っちゃかなわない」 ⑤そのことに関して賞金や保険金などが約束される。「敵将の首に賞金が―・る」 ⑥交配される。「スピッツにテリヤが―・っている」 ⑦ある物事に別の要素が加わった状態になる。「緑に黄色の―・った色」 ⑧掛け算をしてある結果となる。「一定の係数が―・る」 ➏物事に手をつける。とりかかる。 ①進んで攻める。撃ちかかる。平家物語11「判官の船に乗りあたつてあはやと目をかけて飛んで―・るに」。宇治拾遺物語6「鬼の姿になりて大口を開きて―・りけれども」。「束になって―・って来い」 ②始める。着手する。日葡辞書「ザウサクニカカル」。「仕事に―・る」「できないと決めて―・る」 ③道具や機械などが、その機能を発揮する。「エンジンが―・る」 ➐(他の動詞の連用形に付いて)ある情況に移り及ぶ意を表す。 ①…し始まる。ちょうど…する。源氏物語若紫「暮れ―・りぬれどおこらせ給はずなりぬるにこそは」。「その時知人が通り―・った」 ②もう少しで…する所である。日葡辞書「シニカカル」。「溺れ―・る」 ③ある動作を相手に向ける。「つかみ―・る」

広辞苑 ページ 3438 での掛かる単語。