複数辞典一括検索+

くる【来る】🔗🔉

くる来る】 〔自カ変〕[文]く(カ変) 地点・事物・人・時など中心になる点に向かって何かが近づき寄る動作を、中心になる側からいう語。(命令形は古くは「こ」) ①㋐人・事物がこちらに向かって近づく。古事記「島つ鳥鵜飼が伴とも今助けに来ね」。万葉集15「吾妹子わぎもこが待たむといひし時そ来にける」。「客がくる」「手紙がくる」「電車がくる」 ㋑その日時・季節になったり、順番が近づいたりする。「春がきた」「試合の日がくる」 ②行く。目的地へ自己を置いた心でいう。万葉集1「大和には鳴きてか来らむ呼子鳥象きさの中山呼びそ越ゆなる」。源氏物語浮舟「見奉らぬがいとおぼつかなく覚え侍るを、しばしも参り来まほしくこそ」 ③慕う心が、意中の人に向けられる。ほれる。まいる。古くは女から男への場合にいう。好色一代女1「此の程つかへたる肩までひねらせた。これほど我等にくること、何とも合点がゆかぬ」 ④古くなっていたむ。通言総籬つうげんそうまがき「つむぎじまの袖口のちときた裏襟うらえりの小袖」 ⑤(「腹がくる」の形で)腹がへる。腹がすく。通言総籬「少し腹がきたはへ。さつきそこにあつたのはなんだ」 ⑥ある状態に立ち至る。 ㋐(「…とくる」の形で)…といった状態なのである。浮世風呂3「こちとらはどうで着たきり雀ときてゐるから、気に入つた着物をさつさつと着殺すがいいのさ」。「それが面白いときている」 ㋑(「…とくると」「…ときては」などの形で)…を取り上げて言うと。特に…の場合には。浮世風呂4「越後の雪ときたら大層さネ」。「野球とくると飯より好きだ」 ㋒ある事がもとで、その状態になる。「過労からきた病気」 ㋓ある事態が立ち現れる。また、自分の心に生じる。「体力が限界にきた」「がたがくる」「そうこなくちゃ面白くない」「ぴんとくる」「頭にくる」 ⑦(動詞の連用形に付いて)ある動作・状態が以前から現在まで続いている意を表す。今まで…する。ずっと…する。源氏物語帚木「憂きふしを心ひとつに数へ来てこや君が手をわかるべき折」。「今日まで続けてきた仕事」 ⑧(動詞の連用形またはそれに「て」を添えた形に付いて) ㋐次第にそうなる、また、そういう状態が出現する意を表す。万葉集14「遠き吾妹が着せし衣たもとのくだり紕まよひ来にけり」。「胸がわくわくしてきた」「生まれてくる子供のために」「良い考えが浮かんでこない」 ㋑その動作・作用を済ませて立ち戻る意を表す。「行ってきます」「事情を話してきます」 ⇒来る者は拒まず

広辞苑 ページ 5861 での来る単語。