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(助詞ニとテが接合してつづまったもの) [一]〔助詞〕 ➊(格助詞)平安時代以後用いられ、室町時代「にて」にとって代わった。主として体言に付く。 ①動作の行われる所・時・場合を示す。…において。史記抄「吾君のいられた前―吾を叱し事は何事ぞ」。天草本平家物語「年五十八―死なれてござる」。「来年の大会はわが県―行われる」「家の中―遊ぶ」 ②手段・方法・道具・材料を示す。…でもって。輔親集「ある女の許に又ある女の許より錦を紙―封じて、かく書きておこせたり」。平家物語12「下臈なれば太刀長刀―こそ敵をば打て」。浄瑠璃、女殺油地獄「お徒歩かち―お帰り成さるるは」。「木と紙―できた家」「ペン―書く」「ラジオのニュース―事件を知った」 ③理由・原因を示す。…によって。…なので。平家物語5「奏聞しけれども御遊の折節―聞こし召しも入れられず」。いろは文庫「寒さ―思ふ様に渡世も出来ない」。「かぜ―休む」「火事―すべてを失う」 ④事を起こした所を示す。「組合―決めた事」「君の方―答えてくれ」 ⑤身分・資格を表す。…として。史記抄「此の母―言たはよいが妻―言たらば妬て言たであらうぞ」 ⑥事情・状態を表す。東海道中膝栗毛2「ナントきた八、一文なし―出かけよふ」。「いいかげんな気持―言ったのではない」 ⑦期限・範囲を表す。「明日―公演は終りです」「野球は9人―1チームだ」 ⑧配分の基準を示す。「1時間―4キロ歩く」 ➋(接続助詞)江戸時代に多く用いられ、原因・理由を表す。活用語、特に助動詞「た」に付くことが多い。…ので。…から。現代語では、くだけた雰囲気での会話に用いる。浄瑠璃、心中二つ腹帯「お暇が出た―、去にまする」。浮世風呂2「よく流してくれた―、さつぱりしました」。「ちょっと出かけて来る―、頼むよ」 [二](口語では助動詞「だ」の連用形とする)「ある」「ない」などを伴って指定の意を示す。…の状態で。平家物語1「偏に女御の様―ぞましましける」。天草本伊曾保物語「この金かねを下さるることは恩に似て恩―ない」。「吾輩は猫―ある」

広辞苑 ページ 13318