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あ・し【悪し】🔗🔉

あ・し悪し】 〔形シク〕 (室町時代以後「あしい」の形も使われた) ①不当な、好ましくない状態の時に起こる不快な感じをいう。快くない。気に入らない。けしからん。伊勢物語「このもとの女―・しと思へるけしきもなくて」 ②ものの本性・持ち前などがよくない。 ㋐わるい。邪悪である。いけない。神代紀「―・しき神」。源氏物語夕霧「いと心憂く、思ひとる方なき心あるは、いと―・しきわざなり」 ㋑つたない。下手だ。竹取物語「―・しく探ればなきなり」 ㋒粗末だ。蜻蛉日記「ただいとかく―・しきものして物をまゐれば、いといたく痩せ給ふを」 ㋓卑しい。身分が低い。蜻蛉日記「冬はついたちつごもりとて―・しきも良きもさわぐめるものなれば」 ㋔醜い。宇津保物語吹上上「よき女といへど一人あるは、―・しき二人に劣りたるものなれば」 ㋕たけく恐ろしい。あらあらしい。大鏡伊尹「少し勇幹に―・しき人にてぞおはせし」 ③物事が望ましくない状態にある。 ㋐気分がすぐれない。更級日記「心地もいささか―・しければ」 ㋑天候などが荒れ模様である。険悪である。土佐日記「今日風雲のけしきはなはだ―・し」 ㋒(運・縁起など)不吉である。土佐日記「日―・しければ舟いださず」 ㋓貧しい。大和物語「いかにしてあらむ。―・しうてやあらむ、よくてやあらむ」 ㋔不適当である。間違っている。大和物語「かかる御ありきし給ふ、いと―・しきことなり」 ④(動詞の連用形に付いて)…するのが苦痛だ。…するのが難儀だ。万葉集15「この山道は行き―・しかりけり」

広辞苑 ページ 305