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さ・す【差す】(自五)🔗🔉

さ・す差す】 〔自五〕 (「刺す」と同源)ある現象や事物が直線的にいつのまにか物の内部や空間に運動する意。 ①(「射す」とも書く)光が照り入る。映ずる。万葉集10「朝日―・す春日の山に霞たなびく」。日葡辞書「ヒガサス」「ヒカリガサス」。「西日の―・す部屋」 ②草木が萌える。伸び出す。万葉集8「いかといかとあるわがやどに百枝ももえ―・し生ふる橘」 ③雲が立ちのぼる。立つ。万葉集3「八雲―・すいづものこらが黒髪は吉野の川の沖になづさふ」 ④あげ潮になる。新後拾遺和歌集「―・す汐に汀やかはる小夜千鳥鳴きつる声の近くきこゆる」。日葡辞書「シヲガサス」 ⑤熱などが出る。日葡辞書「ネッキガサス」 ⑥ある状態があらわれる。生ずる。きざす。日葡辞書「アカミガサス」。「ねむけが―・す」 ⑦水などがしみこむ。「水が―・して床下が湿気る」 ⑧憑く。「魔が―・す」 ⑨さしつかえる。さしさわる。浄瑠璃、薩摩歌「いや事介は少とお寺に―・す事ある、母様の今、蔵に御座るまに、早ふ出たい」 ⑩気がとがめる。「気が―・す」

さ・す【差す・指す】(他五)🔗🔉

さ・す差す・指す】 〔他五〕 (「刺す」と同源)直線的に伸び行く意。 ➊事物をそれと定めて示す。 ①指などでその方を示す。指さす。大鏡道長「遠く居させ給へりしを多かりし人の中よりのびあがり見奉りて指およびを―・してものを申ししかば」。日葡辞書「ユビヲサス」。「後ろ指を―・される」「時計の針が6時を―・す」 ②その方へ向かう。目ざす。万葉集17「香島より熊来を―・して漕ぐ船の楫取るまなく都し思ほゆ」。日葡辞書「イヅクヲサシテユクゾ」。「北を―・して進む」 ③それとたしかに定める。指定する。指摘する。平家物語3「今度の地震、占文の―・す所其の慎しみ軽からず」。徒然草「日を―・さぬ事なれば」。日葡辞書「ネンキ(年季)ヲサダムル、また、サス」。「犯人を―・す」 ④その役目にあてて派遣する。指名する。万葉集16「官こそ―・しても遣らめさかしらに行きし荒雄ら波に袖振る」。「授業中に―・される」 ➋物を上方または前方へ伸ばす。 ①手を上にあげる。物を持って上にあげる。かざす。ささげる。竹取物語「羅蓋らがい―・したり」。後撰和歌集「―・してこと思ひしものを三笠山かひなく雨のもりにけるかな」。日葡辞書「カサヲサス」 ②舞で、手を前へのばす。謡曲、高砂「―・す腕かいなには悪魔を払ひ、収むる手には寿福を抱き」。「―・す手ひく手」 ③相撲で、腕を前にのばし相手の腕の下に入れる。「右を―・す」 ④枝・葉・根を伸ばす。日葡辞書「ネヲサス」 ⑤《指》(駒を進める意で)将棋をする。浮世風呂「飛車と角で将棋は―・さぬツ。こつちは王を取やすツ。ソレ王手」。「一局―・す」 ⑥相手に酒杯をすすめる。 ➌物を張りめぐらして支える。 ①張りわたす。しかける。設備する。万葉集17「二上の彼面おても此面このもに網―・して吾が待つ鷹を夢に告げつも」 ②いおりを作る。むすぶ。詞花和歌集「いほり―・すならの木かげにもる月のくもるとみれば時雨ふるなり」 ③帯・紐などをしめる。結ぶ。源氏物語「しどけなく打ちみだれ給へるさまながらひもばかりを―・しなほし給ふ」 ④板などを組み合わせて箱・机などを作る。日葡辞書「イレモノ、ハコナドヲサス」 ➍弓弦を作る。平家物語(長門本)「惟能は緑塗の烏帽子に引柿の直垂打かけて引かたぬいで、弓の弦を―・しついでいたる所へ伊村帰来けり」。四季草「弦を―・すと云事、一弦を作るを―・すと云は、さしつぐと云詞の略語也、段々に苧をさし入て、ひねりつぐ也」 ➎前後二人でかつぐ。 ◇➊のように、指示・指向・指定・指名などの意では「指す」と書くことが多い。 ⇒差しつ抑えつ ⇒差しつ差されつ

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