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ない🔗⭐🔉
ない
〔助動〕(現代語の活用は「なかろ(なから)・なく、なかっ・ない・ない・なけれ・〇」。動詞、助動詞「せる」「させる」「しめる」「れる」「られる」「たがる」の未然形に付く打消の助動詞)
1 打消を表す。*ロドリゲス日本大文典「Aguenai(アゲナイ)。Yomanai(ヨマナイ)」*洒・古契三娼「指がどこへかとんで、見えなくなったのさ」
2 (「か」「かしら」などを伴って)否定的叙述の疑問を表す。また、婉曲に命令・希望・勧誘・依頼する意を表す。*洒・遊子方言「貴さまいっそかわないか、出来てゐようから」
[補注](1)起源は、上代東国語の助動詞「なふ」であるとする考え方がある。ただし、「ない」は文献上室町末から関東方言としてあらわれるが、上代との間を結びつける証例は得られない。→なう。(2)近世後期の江戸語では、打消は「ない」より「ぬ」が一般的であるが、国定教科書では尋常小学読本(明治四〇年)以来、「ない」が優位を占めるようになり、今日普通の口語文では、特別の場合のほか、ほとんど「ない」である。(3)「ない」が今日のような活用をするようになったのは、後期江戸語以来と考えられている。それは形容詞の活用に類推したものである。ただし、その初めは、「なかった」よりも「なんだ」「なければ」よりも「ないければ」の言い方のほうが普通である。(4)助動詞「そうだ」、動詞「すぎる」には語幹「な」から続く。「できなそうだ」「できなすぎる」など。形容詞「ない」の場合と同様に、接尾語の「さ」を伴うこともある。「できなさそうだ」「できなさすぎる」など。(5)「ない」は、一般に動詞および動詞活用の助動詞に付くが、(イ)動詞「ある」と助動詞「ます」には接続しない。ただし、文献には、次のような例が見える。「浄・心中宵庚申‐上」の「せく事はあらない」、「滑・八笑人‐二」の「其様なお客はいりましねへ。商売の邪魔になる」など。(ロ)サ変動詞「する」には、未然形「し」に付くのが普通であるが、まれに、「せ」に付くことがある。カ変動詞「来る」には、未然形「こ」に付くが、関東方言には「き」に付くものがある。(6)形容詞、形容動詞、助動詞などの連用形、または、それに助詞「は」「も」の付いたものに付く「ない」は、普通、形容詞「ない」の補助用言としての用法とみる。
日国 ページ 15129 での【ない】単語。