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あさ・い【浅い】🔗🔉

あさ・い【浅い】 〔形口〕あさ・し〔形ク〕 1 空間的に表面、外面から奥や底までの距離が短い。深くない。奥深くない。*万葉‐一三八一「広瀬川袖つくばかり浅(あさき)をや心深めて吾が思へるらむ」 2 感情、思慮、情趣などが、表面的で単純である。 感情が痛切でない。思い方や思いやりが不十分である。*万葉‐三八〇七「浅(あさき)心をわが思はなくに」*平家‐一二「か様の悪行によって、御憤りあさからず」思慮に乏しい。軽率で軽々しい。あさはかである。*源氏‐若菜下「おぼろげにしめたるわが心からあさくも思ひなされず」*日葡辞書「ココロノ asai(アサイ)ヒト」情趣や美の到達度が不十分である。浅薄である。*源氏‐梅枝「よろづの事、昔には劣りざまに、あさくなりゆく世の末なれど」感情、情趣などがおさえられて、あっさりとしている。*花鏡‐奥段「音曲を本として、風体をあさく舞などをも手を少なく」 3 物事と関係しあう程度が薄い。かかわりあい方が深くない。 縁、恩、交際などの人間関係が薄い。*平家‐七「一樹の陰にやどるも先世の契あさからず」*日葡辞書「Asacaranu(アサカラヌ)ゴヲン」罪や過失の度合などが深くない。*紫式部日記「三宝そしる罪は浅しとやは説い給ふなる」伝統、知識、経験などがまだ十分でない。*源氏‐若菜上「なに事もまだあさくて、たより少くこそ侍らめ」 4 色や香がかすかである。 色が薄い。淡い色である。*大和‐六一「藤の花色のあさくもみゆるかな」香が強くない。香がほのかである。*源氏‐梅枝「袖にあさくしまめや」 5 家柄、身分、地位が低い。いやしい。*栄花‐見はてぬ夢「位などもあさう」 6 始まりから、それほど日時がたっていない。 その季節になってからまもない。また、そのために季節らしさの現われが、十分でない。*山家集‐中「春あさき篠(すず)の籬(まがき)に風さえて」日がまだ長くたっていない。「勤めてまだ日が浅い」 7 (出番が)早い。寄席芸人の間でいう。「浅いとこに出る」 あさ‐さ(名)/あさ‐み(名) ●浅き川も深く渡れ 浅い川でも、深い川の場合と同じ気持で注意深く渡れ。少しのことにも油断をしてはいけない。 ●浅き根差(ねざ)し 卑しい生まれつき。卑しい素性。

日国 ページ 290 での浅い単語。