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おも・う【思う・想う・憶う・懐う】(おもふ)🔗🔉

おも・う【思う・想う・憶う・懐う】(おもふ) 〔他ワ五(ハ四)〕(「面(おも)」と同根といわれ、原義は「顔に現われる」の意という。一説、「重い」の「おも」と同根とも。「考える」は、「筋道を立てて客観的に判断する」という場合に多く用いられるが、「思う」の方は、想像、決意、心配、恋情など、主観的、感情的な要素が強くはいっている) 1 (はたから見た様子を示す語が上にあって)そういう顔つきをする。(気持を)顔に表わす。*竹取「つらづゑをつきていみじくなげかしげにおもひたり」 2 物事を理解したり、感受したりするために心を働かす。断定、推量、回想など種々の心の働きにいう。 判断する。思慮する。*万葉‐三七七二「ほとほと死にき君かと於毛比(オモヒ)て」そうだと深く信じこむ。また、自信をもつ。*竹取「世の中に見えぬ皮衣のさまなれば、是をおもひ給ひね」想像する。予想する。また、こうだろうと推量する。*万葉‐九〇四「於毛波(オモハ)ぬに横しま風のにふふかにおほひ来ぬれば」回想する。追想する。*書紀‐仁徳即位前・歌謡「苛(いら)なけくそこに於望比(オモヒ)愛(かな)しけくここに於望臂(オモヒ)」物事に対して、自然にある感情をいだく。感慨をもよおす。感じる。*古事記‐中・歌謡「古波陀嬢子は争はず寝しくをしもぞ愛(うるは)しみ意母布(オモフ)」 3 ある対象に心を向ける。そちらへ強く心がひかれる。 こうしたいと願う。希望する。こうしようと決心する。決意する。*古事記‐中・歌謡「さ寝むとは吾は意母閇(オモヘ)ど」物事を心にとめる。気にかける。また、あれこれと心配する。心を悩ませる。*万葉‐三九六七「山峡(やまがひ)に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか於母波(オモハ)む」慕わしく感じる。恋しがる。愛する。また、大切にする。*万葉‐三七三八「於毛比(オモヒ)つつ寝ればかもとなぬばたまのひと夜もおちず夢にし見ゆる」 ●思いも敢(あ)えず 考える間もない。思ってもいない。*源氏‐総角「かく、おもひもあへず、はづかしきことどもにみだれ思ふべくは」 ●思いも入(い)れず 深く気にもしないで。うっかり。*弁内侍「少将内侍用意して待つほど、思ひもいれず通るを」 ●思いも掛(か)けず 予想もしていない。意外である。思いもよらない。*和泉式部日記「おもひもかけぬにゆく物にもがなとおぼせど、いかでかは」 ●思いも過(す)ぎず 思いもはれない。忘れることがない。 ●思いも付かない 思いのほかだ。意外である。*滑・浮世床‐初「旦那とはおもひも付(ツカ)ねへ」 ●思いも寄(よ)らず 考えもしない。思いつきもしない。*源氏‐末摘花「ただ、おもひもよらずにはかにて」 ●思う余りの小(こ)いさかい =おもう(思)仲の小いさかい ●思う故(え)に 心に思っているために。恋しく思う結果として。*万葉‐三七三一「於毛布恵(オモフヱ)に逢ふものならば」 ●思う子(こ) 1 (「子」は愛称)自分が恋い慕っている人。恋人。思い人。 2 かわいがっている子。 ●思う事言わねば腹ふくる 心に思っていることを言わないでいるのは、腹の中に物がつかえているようで、気持が落ち着かないものだ。 ●思う様(さま) ⇒親見出し ●思う図(ず) =おもう(思)壺*太平記‐四「呉の兵二十万騎思ふ図(ヅ)に敵を難所へをびき入れて」 ●思うそら (「そら」は心の意)思う気持。 ●思う存分 ⇒親見出し ●思うたり叶(かの)うたり 思っているとおりになること。願ったりかなったり。 ●思う壺(つぼ) 予期した状態。目的としたところ。思う図。また、期待したとおりになること。「思う壺にはまる」 ●思う所(ところ) 感じたり考えたりした点。感慨や思慮分別。 ●思うどち 仲のよい友だちどうし。気の合った仲間。 ●思う仲(なか) 互いに思い合う関係。愛し合う間柄。 ●思う仲の小(こ)いさかい 思いあっている二人の間には、仲のよいあまり、かえってちょっとした争いが起こりやすいということ。 ●思うに ⇒親見出し ●思うに別れ思わぬに添う 好きな人とはいっしょになれないで、そうでない相手と結婚する。 ●思う念力(ねんりき)岩(いわ)をも通す 心をこめてすれば、何でもできないことはない。 ●思うはかり 考えを巡らすこと。また、その考え。思案。おもんぱかり。 ●思う日(ひ) (亡き人を思う日の意)命日。忌日。 ●思う人(ひと) 1 気のあっている人。親しい人。 2 恋しく思っている人。いとしい人。恋人。 3 自分をいとしく思ってくれる人。かわいがってくれる人。多く、父母などの肉親をいう。 ●思うべき人 1 気にとめて心を配ってやるべき相手。多く近親の者についていう。 2 相手を気がかりに思うべき人。多く、近親関係にある場合にいう。 3 後見人。 ●思う程(ほど) ⇒親見出し ●思う儘(まま) ⇒親見出し ●思うも著(しる)く 予想どおり。案の定。 ●思う様(よう) ⇒親見出し ●思うより外(ほか) 思うとおりにならないこと。思うに任せないさま。 ●思えば思わるる こちらでその人のことを思っていれば、その人もこちらを思うようになるものだ。 ●思えば呪(のろ)う 人を愛するあまり、かえってその人を憎み、また、のろうようになることがある。 ●思えらく (「らく」は完了の助動詞「り」のク語法)思っていることには。考えるには。おもわく。おむみらく。 ●思えりしく (「り」は完了の助動詞。「しく」は過去の助動詞「き」のク語法)思っていたこと。物思いに沈んでいたさま。*万葉‐七五四「吾妹子が念有四九(おもへりシク)し面影に見ゆ」 ●思わじ事 1 考える可能性のないこと。 2 考えなくてよい、余計なこと。

日国 ページ 3356 での思うおもふ単語。