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かがみ【鏡・鑑・鑒】🔗🔉

かがみ【鏡・鑑・鑒】 (「影見(かげみ)」で、「かが」は「かげ」の交替形という) 1 顔や姿、形を映し見る道具。古くから祭具として用いられたため、大切なもの、清く澄むこと、貴く美しいもの、静かな水面などのたとえにもいう。古くは青銅、白銅、鉄などで作り、表面に水銀に錫を混ぜたものを塗ってみがいてある。形は方円、八つ花形などがあり、裏面は文様を鋳出し、中央につまみがあり、紐をつけた。現在のものはガラス板の裏面に水銀を塗る。*古事記‐下・歌謡「斎杙(いくひ)には加賀美(カガミ)を掛け真杙には」 2 特に鏡に映る影をいう。*源氏‐薄雲「うへも、年頃御かがみにもおぼしよる事なれど、きこしめしし事の後は、またこまかに見たてまつり給ふつつ」 3 (鑑・鑒)手本。模範。亀鑑(きかん)。*万葉‐四四六五「見る人の語りつぎてて聞く人の可我見(カガミ)にせむを」 4 「かがみもち(鏡餅)」「もちいかがみ(餅鏡)」の略。 5 酒樽(さかだる)のふた。円形で古鏡に似ているのでいう。 6 鞍(くら)、鐙(あぶみ)などで、表面を鏡地または銀や金銅で包んだもの。鏡鞍、鏡鐙、鏡轡など。 7 =かがみいた(鏡板)3 8 「かがみもの(鏡物)」の略。 9 底にガラスを張った楕円形の小桶。魚を突く時などに用いるめがね。箱めがね。 10 違いないこと。江戸時代小間物屋の語。 ●鏡に掛(か)く (「かがみに掛けて見るごとし」とも)鏡に映して見るように明らかである。きわめて確かだ。*山家集‐上「波にやとる月をみきはにゆりよせてかがみにかくるすみよしの岸」 ●鏡の=家(いえ)[=奩(す)] (鏡は女の魂とされるところから、鏡箱を女の魂の宿る家(すみか)に見たてていう)鏡を入れる箱。鏡箱。 ●鏡の間(ま) 1 能楽で、楽屋から橋懸りに出る揚幕(あげまく)の内にある部屋。常に姿見鏡を掛けてあるのでいう。役者は登場直前にここで装束を映したり、面(おもて)をつける。幕際。 2 江戸時代、劇場で大臣柱(だいじんばしら)と大臣柱の間、すなわち本舞台に相当する所。 3 四方に鏡を張りめぐらしてある部屋。ベルサイユ宮殿のものは名高い。 ●鏡の松(まつ) 能舞台の鏡板(かがみいた)に描かれた老松の絵。中世、猿楽の頃の奈良春日神社の影向(ようごう)の松をかたどって描かれたといわれる。江戸時代の正式な舞台では必ず狩野派の筆によった。 ●鏡の御影(みえい) 絵画上の用語。円窓を描き、その中に表わした神仏の影像。 京都西本願寺に伝わる親鸞上人の肖像画の一つで、専阿弥陀仏(生没年不詳)によって上人の存命中に描かれたものといわれる。鎌倉似絵(にせえ)の貴重な遺品。紙本墨画。国宝。縦七一・八センチメートル、横三二・九センチメートル。 ●鏡は女(おんな)の魂(たましい) 女性にとって、鏡は命にも代えるべき大切なものである。「刀は武士の魂」に続けていうことが多い。 ●鏡を掛(か)く 鏡をかけて物を映したように物事を詳しく知っている。鏡に掛く。*大鏡‐一「ここらのすべらぎの御ありさまをだに鏡をかけたまへるに」 ●鏡を抜(ぬ)く 祝いなどで酒宴のために酒樽の蓋を開く。

日国 ページ 3787 での単語。