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かみ【上】🔗🔉

かみ【上】 (もと「ひと続きのものの初め」をさしていった語か。後には、「土地の高い所」「ある地域で中央に近い所」「人間関係における長上」の意などを示すように転じた) ひと続きのものの初め。流れの初めのほう。 1 川の源。上流。かわかみ。*伊勢‐八七「さる滝のかみに」 2 いにしえ。むかし。上代。*千載‐序「かみ正暦のころほひより」 3 初めの部分。とくに、いくつかに区分されたものの初めの部分。「上の句」「上の巻」「上の十日」など。*伊勢‐九「かきつばたといふ五文字を句のかみにすゑて」 4 和歌の上の句。*後拾遺‐一〇一四「世の中を何にたとへむといふ古ごとをかみにおきて」 位置の高い所。 1 高い所。うえ。*伊勢‐八七「この山のかみにありといふ布引の滝」 2 身体の腰から上の部分。また、そこに着けるもの。*虎明本狂言・引敷聟「かみ下のしたはやれてなひが、かなばかりあるといふておこひた」 3 上位の座席。*栄花‐若ばえ「母屋は南をかみにし、廂は西をかみにしたり」 4 (台所、勝手などを下(しも)というのに対して)客間、座敷、客席などの称。 地位の高い人。 1 天皇をさしていう。*仮・恨の介‐下「雲の上人たち、かみを始め奉り」 2 皇后、皇族などをさしていう。*たまきはる「身の装束、行器(ほかゐ)などまで、みなかみより御沙汰あり」 3 将軍をさしていう。*吾妻鏡‐建暦三年四月二七日「於上全不恨、相州所為、傍若無人之間」 4 一般に、高位の人。「なか」「しも」に対していう。*伊勢‐八二「かみなかしもみな歌よみけり」 5 政府、官庁などに対する尊称。*浄・傾城反魂香‐三熊野「上を掠むる越度(おちど)」 6 主人。*狂言記・角水「それにござりませう。かみへ申ませう」 7 親分。*仮・仁勢物語‐下「此男のかみも、ゑひの助なりけり」 8 近世以後、人妻に対する軽い敬称。また、茶屋、料理屋などの主婦。→おかみ。*浄・長町女腹切‐上「下の町の酒屋のかみ」 9 年上の人。また、年上であること。*源氏‐若菜下「七つよりかみのはみな殿上せさせたまふ」 皇居の存在する地域、地方、方角。 1 都。京都。*浮・好色一代男‐五「其後は上(カミ)へものぼらぬか」 2 (上方(かみがた)の略)京阪地方。近畿地方。*俳・炭俵‐上「上(かみ)のたよりにあがる米の直(ね)」 3 近畿地方の中で、大阪から京都をさしていう。 4 京都の中で、内裏のある北部。「上京(かみぎょう)」「上賀茂神社」など。*虎明本狂言・餅酒「身どもがのは、これよりつっとかみで御ざる」 5 都から離れている地域でも、その内で都に近い所。「かみつけの」「かみつふさ」など。 程度や等級、場所などが上であること。 1 人物や品物がすぐれていること。また、そのさま。*浄・源頼家源実朝鎌倉三代記‐五「此鑓が直打物。何と上(かミ)でござりませうが」 2 等級、座席などが上位であること。 (歌舞伎、演劇などで)「かみて(上手)」の略。 ●上=一人(いちにん・いちじん)[=御一人(ごいちにん)] 最高の地位にある人。天皇。 ●上が上(かみ) 上のまた上。最上。 ●上つ ⇒親見出し ●上の句(く) 1 短歌で、初めの五・七・五の三句。本(もと)、本句、本の句とも。⇔下の句。 2 連歌で、五・七・五の句。長句とも。 3 俳句で、初めの五文字の句。 ●上の家司(けいし) 貴族の家の家務を執る家司の上級の者。 ●上の町(ちょう) =かみ(上)の町(まち)=かみ(上)の町(まち)1 ⇒親見出し ●上の戸(と) 皇居内、清涼殿の殿上(てんじょう)の間(ま)の東口にあたる妻戸。 ●上の十日(とおか) 一か月を三〇日とし、それを三分した初めの一〇日間。上旬。 ●上の間(ま) 1 上座にあたる部屋。奥の間。 2 江戸城本丸御用部屋のうち、大老や中老が政務をとった部屋。 ●上の町(まち) 1 市街の、上手の方にある町。高い所にある町。かみのちょう。 2 (「町」は、等級、階級の意)第一級。一流。上流階級。 ●上の宮(みや) 一つの神社が、二つまたは三つの宮からなり、それぞれが神殿や拝殿を備えている場合、その建物の位置がもっとも上方にある宮。 ●上の弓張(ゆみは)り 新月から満月に至る間の半月。ふつう、陰暦で毎月の七、八日ごろの月。上弦。 ●上漏(も)り下(しも)潤(うるお)う 上に立つ為政者が情け深い政治を行なえば、下々の人民は潤って豊かになる。 ●上を学ぶ下(しも) 下にある者は、上にある者を学んだり真似たりするものである。

日国 ページ 4508 での単語。